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彼女

 「彼女」、そう呼べる相手ができたのは、半年ぶりだった。彼女には、付き合っている彼氏がいる。その彼とはしばらく会わない事にして、別れる予定だったらしい。この前彼女を車で送っていると、「この道は彼によく送ってもらった道なんだ」と言われる。彼と彼女の思い出でを聞くのは好きではない。気にはなるが・・・。それは聞いても、もうどうすることも出来ないからだ。思い出の風景をぶっ壊す事も、よく送ってもらっていた道を跡形もなく舗装し直すことも出来ないからだ。バレンタインの時、彼女は耳元でこう言っていた、「頭と心の中から彼は消えてしまった・・・今は○○(僕のあだな)の事しかないんだよね」と。きっと彼女は、彼と別れてくれると信じていた。
 それから一ヶ月が経ってホワイトデーの二日前、彼女は留学が決まったのだ。それを機会に、これからの事を考えていたらしい。学校の事や、家族の事や、会わないでいた彼の事や、僕のことや。彼に正式に別れを告げたらしい。そこまでは順調だったのだが・・・。
 ホワイトデーの一日前、彼女から突然「明日は会えない・・・」と言われる。なぜと思い電話をする。彼に別れを告げてから、彼の事を本当に好きだった自分に気が付いたらしい。ぽっかり穴が開いたようだと。僕の事はまだ好きなのだが、それは彼がいて初めてそう思えるのだと。「『彼』の代わりは、あなたではできないの・・・」と言われる。終わった・・・( 'д⊂ヽ゛。どこかに書いたが、「歯ブラシ」や「ひげそり」など身近にある物の重要性は、それを無くしたときに初めてわかるのだと。普段は気にもしていない物ほど、その重みに気が付かないのだ。彼女は気が付いたのだ、彼の重要性に。
 僕は、「かけそば」に入れる「七味唐辛子」みたいなものだったんだなと思った。「かけそば」はそのままでもおいしく食べられるが、「やくみ」を入れた方がさらにおいしくいただけるものだ。しかし「やくみ」は絶対的に必要なものではない。彼女の彼との何年間かの思い出に、ちょっと彩りを添えることができたらしい。「輝くこと」の中で、磨き粉の話をした。僕は彼女の磨き粉であったと思うが、それは輝かせてしまったら、もう必要ないのだ。僕の役目は終わった。
 ワイス氏は著書の中で、「愛とは、信じることと、許すこと」と書いている。突然終わりは来たが、僕は彼女を許そうと思う。こう書くとなんだか偉そうだが・・・。僕は最後まで彼女を信じる事が出来た。「あんまりだ・・・」とも思うが、許すこともできると思う。それは、愛していたからかもしれない。

参考文献

ブライアン・L・ワイス、1996、前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘、PHP研究所

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