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伝言メモ・その弐

 「本当にごめんなさい」。別れを告げられた、その声すら愛おしく感じる。最後に入っている伝言メモには、そう録音されていた。
 声を聞いていたい・・・。だが、もう彼女は、彼の元に帰っているのだ。削除ボタンを押すのは、何か自分の気持ちに反している様な気がする。携帯を変えることにした。自ら消したくはない。新しい携帯にすれば保存することは出来ないから、消えてしまうのだと理由がつけられる。
 ホワイトデーの日、会うことにした。お返しを買っていたから、それを渡したかったからだ。郵送する事も出来たが、直接渡したかった。家から駅に向かって歩くとき、これほど駅が遠いと感じたことはない。歩けば歩くほど、別れが近づいてくる。エスカレーターを登ってすぐに、彼女はいた。いつもと同じように、あれこれと探す事無く、難なく見つけることができる。
 お返しを渡したら、すぐに帰ろうと思っていた。しかし、彼女は少し一緒に歩きたいと言う。手をつないで歩いた。初めて僕が彼女に好きだと言った場所へ行く。別れの時は、間近だった。二人が始まったその場所で、終わろうとしていた。
 別れ際に彼女は「○○の事大好きなのに・・・だから別れるのは辛い」と言う。好きなら、なぜ別れなければならないのか!?、そう思った。引き止めようとしたが、それは意味がないとわかっていた。好きという気持ちだけでは一緒にいられない理由が、彼女にはあるのだ。
 僕は「でも、彼が必要なんでしょ?」、強がってみた。手を離し、彼女に背を向け、歩き始めた。上を向けば、涙が涙腺に戻って行くような気がして、ただ青い空を眺めていた。

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