カテゴリー「学問・資格」の25件の記事

結果通知

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この前書いた1級管工事施工管理技術検定の学科試験の事ですが、結果通知が帰ってきました。自己採点の結果は40/60で、まあ合格と思っていたんですが通知が来るまでは心配ではあります。で、通知がきました・・・

結果、合格でしたhappy02bottle。しかし、次の実地試験は、別料金とは・・・。また金がかかるよ~dollarsweat01

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シンワ測定 数取器

200909191323000

今度、少林寺拳法の武専の進級論文を書くんだが、それのためにちょっと実験をしようかと思っていてこれを買った。どんな実験をするのかは内緒happy01

ネットでこれを買ったんだが、最初なんていうのかわからず探すのに苦労した・・・。カウンター??と最初検索したんだが、どうもヒット数がすくない。色々とみていると、これは「数取器」という名称があるとわかった。よく交通調査の人が使ってたりするよねこれflair。単純だがなんとも便利だな。押しごごちもわるくないnote

どんな論文をかくのかは、そのうち載せますからおたのしみに~confidentflair


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40/60(1級管工事施工管理)

 先日受けてきた1級管工事施工管理技術検定の学科試験ですが、問題と解答が公開されたんで採点してみた。試験の際に最後まで残ると、問題用紙は持って帰ってもいい決まり。なので、それに自分の回答をメモしておいた。

 最初計算間違えに気が付かず、sadな気分だった。2chにもスレがあって、色々読んでいると自分の採点の間違いに気が付いた。で計算し直したところ、

 60問中、40問の正解であることがわかったflaircoldsweats01。60%が合格ラインとされているらしく、36点以上取れれば大丈夫みたいだ。自己採点ではOKだが、マークシートの記入ミスなんかもあるかもだし、正式発表まではわからない。10月半ばまでどきどきだな~despairsweat01

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建築設備士

 管工事ですが、答え合わせをしたところ6割以上はあってたようで・・・。でも微妙・・・。7割行ってれば間違いなく合格だっただろうけどsad

 この1級管工事施工管理試験に受かると、1級管工事施工技師になれるわけ。そうすると、今度は建築設備士という資格が受験できるようになる。建築設備士はあまり意味がないじゃん?と思っていたんだが、法改正されてこれを持っていると建築士を受験できるようになったとか。建築士は対象の学科をでるか、建築士がいる会社でお仕事をしてないと受験できなかったはず。それが変わって、設備業界からでも取れるようになったということだ。

 建設業界では、設備も重要だが、やっぱり花形は建物を設計できる建築屋さんだろう。有名建築家ってのはいるけど、有名ダクト設計屋とか有名電気工事家ってのはいない。有名建築家になりたいわけじゃないけど、取れるものは頑張ってやってみようかなconfident。まず今回の試験を受かることが重要なんだけどもね・・・。

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1級管工事施工管理技術検定試験

 この前の日曜日にやってきました、この試験sadいまいちだったな~。わかる!出来た!という問題が50%くらいしかない・・・。もう問題と解答が公開になっているはずなので、答え合わせしてみようかな~。6割できれば合格できるかもで、7割ならまちがいなし、8割以上は合格って感じらしい。正式な発表は10月中頃なので、それまでやきもきしてないとな~sad

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管工事施工管理技士のお勉強

 今年の秋に受けようと思っている試験なんだが、お勉強が進んでないcoldsweats02。どんな簡単な試験でも、勉強をしようとするモチベーションがなければ受からないだろう。いまは、そのやる気がない状態だ。こりゃ落ちるなdown

 僕は技術的な本は、オーム社の本が好きだ。学生の頃からよくこの出版社の本を買ってた。妙な宗教団体もありましたが、あれとは一切関係有りませんからね!。というわけで、今回の管工事試験の参考書もオーム社のを買った。二級のときも買って、一回で受かった。今回は・・・うーむbearing。参考書っていうよりも、僕のモチベーションの問題だからな~。

買った参考書は

春山 忠男 1級管工事施工合格問題集 (なるほどナットク!) オーム社

山田 信亮, その他 1級管工事 学科試験の徹底研究 (なるほどナットク!) オーム社

の二冊。受かるかな~sad受かったら新しく出るであろうipodを買うんだ!!。

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卒業証明書を取ってくる

 管工事施工管理の1級を受けようかと、書類をそろえていた。僕は一応大卒なので、卒業後4年6ヶ月で試験が受けられる。で、学歴で受けようとすると、卒業した学校の卒業証明書が必要になる。そんなわけで学校へ行ってきた。
 僕は専門学校に行ってから、大学へ行った。学士は目的じゃなくて、”大学院”というものに行って研究をしてみたかったわけ。大学院の学士前期課程(修士)を受けようとするときは、大学を出て学士を持ってないとだめだ。だから、大学に行った。
 社会人になってからの大学、大学院だったので、毎日通うとかは無理。なので、調度法改正で通信の大学院が認可された時期だったので、通信の大学院に行ってみた。受験は普通にあって、まあ面接も口八丁手八丁で受かったcoldsweats01。目的の修士は取れて、紀要に論文も一つ出せた。それなりに目的達成はした。それから後期課程(博士)を受験したが、落ちた・・・weep。英語がとことんできなかったので、当たり前と言えばそうだが。 

 久々に大学に行って、当時の気持ちみたいのが蘇ってきた。もっと崇高な目標を持っていたかな・・・というか、無茶な目標だったのかもしれないが。あの時の行動力は驚くものがある。自分の事だがそう思う。なにか、背中を押されるような感じで、直感でやっているような感じだが、ドンドンうまく行って先に進んだ。今では、うたかたの夢のように思える。
 あれから何年経ったのか・・・といっても2年くらいか。頭が萎えない程度に、少林寺拳法の論文を書いたり、資格の勉強とかはしている。拳法の論文は大学院で勉強したことを応用して書いたんだが、入選したし勉強もムダじゃなかったんだなと思った(というか、けっこう自信作だったので、入選しなかったら拳法をやめるつもりだったcoldsweats01)。

 ”うたかた”というのは、水の上に浮かぶ泡のこと。夢はうたかたで済むが、現実はそうじゃない。家の近所に音大が出来た。僕のやっていた研究に近いことも行われているかもしれない。そういう現実から逃げようとしていたが、大学に行ってなにかくすぶっている何かを感じた。
 もしもう一度研究を始めるなら、拳法は休むし武専も休学する。博士課程なら仕事も辞めるだろう(やめなきゃ出来ない)。また、たくさんの偶然が重ねって、縁が生まれるかもしれない。
 どうなるかわからないが、そんなときは現状のままで生活して直感に頼るのがいいと思う。それが自分にとってやるべき事なら、いつかかならずそのときはやってくる。やらなくていいことなら、どんなに頑張っても縁は生まれない。あの時の直感と勇気を忘れなければいいだけさ。そうすれば、きっとうまく行く・・・。
 

 

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一級管工事施工管理技士

 今日から四月なんですが、昨年は五段の試験を受けに四国に行ってましたね~。もう一年も経ってしまったのかcoldsweats01。ここ数年は博士課程入試試験、二級管工事、五段試験・・・・と毎年毎年何かしら試験を受けているわけです。今年はまだ何も受けようと思うのがないので、じゃあ一級の管工事でも受けてみるか~と気楽に計画。しかし、一級は二級とは違って、けっこう難しいらしい。

 二級は学科が約50%くらいで実技が40%くらい、一級は学科が30%くらいで実技が60%くらいの合格率になっている(こちらを参考にしました♪)。この試験は、知識を問う学科試験と、より実務に近いような事柄を考える実技試験とに別れる。学科が受かれば、その後免除期間がある。二級は一発で受かったんだが、学科と実技の合格率を掛け合わせると、一回で受かるであろう人は全体の20%くらいなのか。これが一級だと、18%くらいか。結構難関だなsweat02。まあ、一度に受からなくてもいいわけだが、できるならば一回の方がいい。

 申し込みは五月の上旬からなので、テキスト買って、やれるかどうかちょっと勉強してみるかなbookconfident。何かを学ぶっていうのは、おもしろいやねnote。家はダクト屋なんだけども、「管工事」だから配管の問題とかもでる。給水とかだと、これがまた業務とは全然違う分野でちんぷんかんぷんsweat01。資格っていうのは、往々にしてそうだよねcoldsweats01。仕事とは関係ない事も勉強しないと受からないし・・・。知識が増えるのはいいことだろうけどね。


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引用文献の書き方

 大学で卒論を書いているとき指導教官から、「出典を明らかにしないと、盗作になってしまいます!」ときつーく言われた。それからはどんな文章をかくときも、参考文献や引用文献の紹介については気を遣っている。僕の記事も勝手に引用されているときがあったがangry、連絡はしてこなくていいけど、文中に引用しました~と書くのは最低限の礼儀かと。

 最近は少林寺拳法の関係のレポートばかり書いているわけですが、書籍を調べるのが億劫で、ついインターネットで記事を調べてしまう。最近はまともな文章がネットに上がっているから、意外と利用している人は多いかも。この場合も参考にしたページなんかを書かないとダメだろう。勝手に引用するんじゃ、元の文章を書いた人に無礼だ。

 日本心理学会の原稿の書き方に載っている、インターネット上の資料を引用したときの引用文献の書き方を紹介すると・・・

 著者名 年号 資料題名 サイト名 アップデート日 <URL> (資料にアクセスした日)

となっている。ちょっと前に書いた「パンチドランカー症状_その壱」という記事を引用したとすると、

 内藤 正智 (2009). パンチドランカー症状_その壱 竪琴は弾けないが、伝えたいことがある吟遊詩人 2009年1月31日  (2009年2月10日)

のように最後にまとめて書くわけですな。サイト名がなんとも風情があるでしょ?smile。サイト名がまじめな論文に書いてあったらおもしろなオホホ。

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電験三種を申し込む

 電験三種(第三種電気主任技術者試験)を申し込んだ。ネットから申し込めるし、とっても簡単。払い込みは、銀行振込だった。申し込みは簡単だがsweat01

 初めて受けるので、難易度とかがよくわかってない。試験は、理論、電力、機械、法規の四科目。科目合格もあるので、3年以内に全部とればいい。現在は参考書を、理論、電力、機械とそろえてやっている。法規は手つかず。

 理論は、直流、交流などの電気回路理論に関することを答える感じ。計算がメインで、昔学校で勉強したことばかり。思い出せばいけそう。電力は、火力、水力、原子力などの発電関係、送電線など電気を送る技術について。こちらは記憶がメインっぽい。覚えられればいけそう。

 問題なのは、機械・・・。なんじゃこりゃ・・・。モーターを回すためのうんぬん、自動制御うんぬんcatface??久々にちんぷんかんぷんで、頭を抱えてみた。理論よりも、より現実的な電気製品の利用場面を想定している問題って感じ。

 正直、電験は仕事に全く関係ないので、無謀といえばそのようなチャレンジかも。でも、申し込んじゃったし、何もせず敗北するのは愚かしいと思う。悪あがきして敗北するかbearing。電気工事士がとれればそれでよかったんだが・・・。来年の春に電気工事士を受けて、秋には電験三種を再チャレンジって事になるだろう。

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電験三種_その壱

五段の試験もおわったし、次は何をやろうかな~と考えていた。資格の試験でも受けてみるかと、ちょうどよいタイミングな資格はと探していると、電験三種があった。電気工事士をとろうと思ったのだが、願書の締め切りが迫っていたし、実技の練習の材料とかもお金かかりそう・・・。こちらは次の機会に回して、先に電験三種をとってみようと考えた。電験をもっていると、電気工事士の学科試験が免除になるのだflair

理論、電力、機械、法規の四つの科目がある。とりあえず理論を勉強することにした。科目合格もあるので、順々にとっていってもよいだろう。早速テキストを買ってやってみる。まえに専門学校でならった電気回路の授業そのままだ。ウームcoldsweats01、時の流れは残酷で、ほとんど忘れていた。

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2級管工事施工管理技術検定試験合格♪

 去年の秋に受けた、2級管工事施工管理技術検定という資格の試験だが、やっと結果が来たsweat01。実技試験もあるから、それで発表が遅いのかな~なんて思った。じっくり採点しないといけないじゃん?coldsweats01

 資格の申し込みが5月くらいなんだが、それから半年後に試験。でまた半年経って発表と言う感じ。夏頃はぼちぼち勉強していたんだが・・・。それから飽きちゃって、また勉強始めたのが試験一ヶ月前sweat02dash。参考書の目次に、どこをやったのか日付を書いておいたから間違いないw。

 まあ、やり方はどうあれ、受かったからいっかcoldsweats01。この調子で五段もうからないかな~flair

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妄想性人格障害 その壱

 ちょっと前に気持ち悪いページについて書いた。友達にそのページを見せたところ、奴は妄想性人格障害らしいとの意見であった。僕は臨床心理には明るくないが、その友達は専門的な知識も臨床経験もある方だ。

 下に参考になりそうなページをあげる。

http://akatan.cool.ne.jp/jinkaku.htm#teigi

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%A0%BC%E9%9A%9C%E5%AE%B3

http://www.fuanclinic.com/byouki/a_04.htm

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CC%D1%C1%DB%C0%AD%BF%CD%B3%CA%BE%E3%B3%B2

http://topaz.oops.jp/bpd/02.html

http://www9.plala.or.jp/rescue/jinkaku.html

 数年前に勉強した内容だ。もう忘れてしまっていたが、徐々に思い出してきた。僕の知識は一般的な臨床心理だけなのだが。
 そのときの先生が言っていたが、「人格障害を患っている人は、自分が異常だとは感じないため、自ら受診することは少ない」とのこと。病気かどうかの判断は、日常生活が普通に送れているかどうかで判断される。生活や仕事に支障がないなら、まあ病気ではないのかもしれないが。好き勝手書かれている方としては、迷惑ではある。

次回は人格障害と「妄想性人格障害」について掘り下げて考察してみたい。

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音楽聴取後の感情変化についての研究-テンポとメロディと曲に対する好みが感情尺度と癒し感情に与える影響-

1 はじめに

 現在の社会は、ストレスの多い社会といわれている。そのような中で、リラクゼーションに関する関心が高まっている。その一つの方法として音楽があげられるだろう。ヒーリング音楽やリラクゼーション効果などを謳った商品が、数多く店頭に並んでいることからもこのことが分かる。音楽はTV、商店やレストランのBGMなど、我々の身近なところで利用され、音楽を耳にしない日がないほどとなっている。このように日常よく利用され、我々に生活に浸透している音楽だが、どのような曲が人の心を癒すのだろうか?。本研究では、音楽を利用した癒しについて、音楽の重要な構成要素であるテンポとメロディの両観点から考察したい。



2 問題

音楽と「癒し」の関係

 みつとみ (1999) は「癒し」と関連がある音楽のジャンルとして、「ヒーリング音楽」をあげている。そこで、ヒーリング音楽とは精神的な癒しを目的として製作された音楽で、心をリラックスさせる効果があるもの、と述べている。また 村井 (2001) は音楽療法の立場から音楽と「癒し」について考察しているが、イライラしている、緊張状態、憂鬱、不安ななどの心理状態のときに、音楽を聞きその心理状態を緩和させること、と述べている。栗原・伊藤 (2001) は音楽聴取前後の感情変化について調査しているが、音楽聴取後は抑うつ・不安的な感情が減ることが報告されている。音楽を利用した「癒し」とは、音楽聴取時に抑うつ・不安的な感情を減少させ、心を穏やかな気分にさせ、より心身をリラックスした状態にすることといえる。

 本研究では音楽を使った「癒し」について、抑うつ・不安感情を軽減させ、沈静的気分を向上させるものと定義する。上記のように音楽には「癒し」の効果があるといえるが、音楽的な特徴(テンポや調、ジャンルなど)が様々にあり、どの要素がリラクゼーションに関係しているのか定かではない。音楽的な要素を統制し、音楽と「癒し」の関係を調査することが重要だろう。



音楽的要素についての調査

 テンポについては先行研究によって、その違い(早いテンポ、遅いテンポ)による感情の変化について調査されている(Balch & Lewis, 1999; Balkwill & Thompson, 1999; Husain, Thompson, & Schellenberg, 2002)。これらによれば、速いテンポは「活力」や「活発」などの覚醒に関連した感情を起こさせ、遅いテンポは不活性的な落ち着いた、沈静的な気分にさせることがあげられている。

 メロディに関しては、Balkwill & Thompson (1999) が複雑なメロディは「怒り」や「悲しみ」の感情に関係があり、シンプルなメロディは「ポジティブ感情」や「喜び」「穏やかさ」などの感情に関係があることをあげている。William & Benjamin (1996) は「モーツァルト ピアノソナタK309」を使用して、被験者を活性的気分に誘導する実験を行っている。k309の譜例を図1にあげるが、様々な音符が用いられていることが分かる。 松田・厚味・鈴木(1998) は「心が安らぐ」「心がいやされる」音楽について調査しているが、上位三位までにあげられた曲(エンヤ・ウオーターマーク、リスト・愛の夢第3番、神山・水色の幻想)を調査したところ、メロディはシンプルであることが分かった。メロディの複雑とシンプルさには、聴取後の感情に与える何らかの影響があると思われる。ウォーターマークの譜例を図2に示した。



図1. K309譜例





図2. エンヤ、ウオーターマーク譜例



Thompson, Schellenberg, & Husain (2001) はモーツァルトの K448(ピアノ・ソナタ、ニ長調)とアルビノーニのAdagio ト短調 for Organ and Stringsの両作曲家による曲を使って、聴取後の気分変化の差をPOMS(Profile of Mood States)を用いて調査している。尺度は、活力・活気的気分(lively,active,energeticなど)に関する五項目で活性的気分を測定し、憂うつ的気分(sad,unworthy,discouragedなど)の五項目で沈静的気分を測定している。その結果、モーツァルト聴取群は活性的な気分が高まり、アルビノーニ聴取群は沈静的気分が高まったと報告している。





 図3. K 448(冒頭部分)譜例



 しかしこれらの二曲は、調が異なり(長調と短調)、演奏に使用されている楽器の種類(ピアノとパイプオルガン・弦楽器)も異なる。それらの音楽的特徴の違いからも、誘導される気分に差が生じてくるだろう。このように音楽は、様々な因子が絡み合って、感情に影響を与えている。音楽と感情変化について調査する場合、これらの音楽的な因子を統制する必要がある。ここで、これらの曲をメロディとテンポから見てみると、K448はメロディが複雑でテンポが早い、アルビノーニのAdagio ト短調はメロディがシンプルでテンポが遅いという特徴があった。テンポとメロディの影響についてはすでに述べたが、最も基本的な音楽の構成要素ともいえるこれらの二つが、音楽聴取時の感情変化に大きな影響を与えていると考えられる。

 松田・厚味・伊東 (2001) と 松田他 (1998) はそれぞれ、「元気になる音楽」と「心が癒される音楽」について調査している。これらの調査の中で上位にあげられた曲を聴き、譜面などから音楽的特徴を検討した。その結果、1)元気がでる音楽は、リズムが強調され、テンポが比較的早い特徴があった。2)癒される音楽については、リズムはそれほど強調されず、テンポがゆっくりで、メロディーがシンプルであることが分かった。これらの考察から、Thompson et al. (2001) の沈静的気分誘導音楽と 松田他 (1998) の「癒し音楽」との間に、メロディとテンポに関して共通点が見つかった。



音楽の好みを考慮した研究

 Laura, MacDonald, & Eric (2005) らは、冷水を使った痛みをどれくらいの時間耐えることができるかを、好みの音楽を聴いた場合と、算術問題を計算させた場合で比較している。聴取用の音楽は、被験者に自由に選択させている。そこでは、好みを音楽を聴いた群がより長く痛みに耐えることができる結果となっている。また、Darcy (2003) は好む曲と音楽を聴取しない場合で、不安に関する値を調査している。実験は、音楽を聴取させる二群(好みのジャンル、好みの歌)と、聴取しない群を使って行われた。音楽を聴取する群は、好きなジャンルを選択させる群と、好みの曲を選択させる群の二群で、それぞれの群での条件内で自由に選択できた。その結果、不安抑制に好みの音楽が有意であることが報告されている。このように曲に対する好みは、感情変化に対して重要な要素になると考えられる。

 上記の調査では好みの音楽の効果が明らかにされているが、両研究で用いられている曲はジャンル、テンポ、音色などまちまちである。多数ある音楽の因子の、何が影響を与えているのか定かではない。音楽の構成要素に焦点を置くならば、これらの条件を統制して調査を行うことが重要だろう。



3 目的

 本研究では、テンポとメロディが与える心理的効果について検証する。また、音楽に関する好みが、「癒し」感情に与える影響についても調査する。「癒し」とは、抑うつ・不安的な感情を減少させ、より沈静的な気分にさせることとする。テンポがゆっくりでメロディがシンプルな音楽は、沈静的で癒し効果があるだろう。また、テンポが早くメロディが複雑な音楽は、活動的な気分に誘導する効果があるであろう。このテンポとメロディが活性と癒しに与える影響を図4に示した。テンポ(fast or slow)とメロディ(simple or complex)の異なる曲を四曲作曲し、それを被験者に聴かせ、その後の感情状態を測定する。





図4. テンポとメロディが活性と癒しに与える影響。赤色は活性の度合いを表し、緑色は癒し・安らぎ の度合いを表している。その色が濃くなれば、その度合いが高まっていることを示している。



 音楽に対する好みは、聴取後の質問紙に項目を設け被験者に答えさせる。その結果から、好みが「癒し」感情に与えている影響を分析する。

4 方法

被験者

 日本電子専門学校(電子工学科)の生徒60名(男55名、女5名)。年齢は18歳から33歳の幅があった。その中で音楽経験者(楽器演奏など)が30名おり、音楽訓練の平均年数が4.87年(SD=4.38,年数の幅は半年から15年間)だった。



聴取用音楽

 メロディがシンプルか複雑(simple[S]or complex[C])か、テンポが早いか遅いか(fast[F] or slow[S])で以下四つのバージョンを作成する。

①テンポが早く、メロディがシンプルな音楽(fast tempo-complex melodies:以下、FC)

②テンポが遅く、メロディが複雑な音楽(fast tempo-simple melodies:以下、FS)

③テンポが遅く、メロディがシンプルな音楽(slow tempo-simple melodies:以下、SS)

④テンポが遅く、メロディが複雑な音楽(slow tempo-complex melodies:以下、SC)



1)メロディについて

 本研究では、シンプルなメロディはエンヤ・ウォーターマーク (エンヤ, 1998) を使用した。複雑なメロディには、先行研究であげられている複雑なメロディを持つ曲を参考にして、ウォーターマークの音はそのまま変化させず、音符を追加して作成した(図5参照)。





図5. シンプルなメロディ(上)と複雑なメロディ(下)の例。複雑なメロディは、シンプ ルメロディに音符を追加して作成した。



 追加した音符は、ウォーターマークのメロディ部分に使われているもの以外を使った。メロディ、テンポ以外の音楽的な変化を統制するため、コード進行、伴奏、音色などは各バージョン全て同様とした。音色はMIDI音源にプリセットされている「グランドピアノ」を使用した。ウォーターマークは冒頭で図1に譜例をあげているが、使用されている音符は、二分、四分、八分音符と、比較的長い音を奏でるものが多い。使用されている音符の種類も少なく、音程の変化も少ない。刺激の少ないメロディといえるだろう。複雑なメロディは、リズム、音程など、多彩な音の変化を与えた。音の細かい動きが見られ、刺激の多いメロディといえるだろう。

 これらの二曲を、シンプルなメロディと、複雑なメロディとして、調査に用いた。それらの各曲を、音楽シーケンスソフトウェア(XGworks ST Ver2.0.7J)とYAMAHA MIDI keyboard CBX-K1を用いて入力し、加工した。



2)テンポについて

 テンポに関しては、fast[F]とslow[S]をそれぞれ、160と80bpm(四分の四拍子)とした。それらの曲を「ONKYO MA-700A」と「PIONEER DVR-A08」を使用して、MIDI音源(YAMAHA MU100)から、アナログ音楽CDを作成した。そのCDをラジカセで再生し調査した。聴取時間は約210秒とした。テンポが速く演奏が早く終わる群は、210秒に満たないため、同じ曲を繰り返し聴取させた。



音楽聴取前の気分調査

1)MMS(多面的感情尺度)

 寺崎・古賀・岸本 (1991) が作成したMMS(Multiple Mood Scale:多面的感情尺度)を使用した。MMSは8因子から構成されているが、今回の調査に関係があると考えられる3因子を選び調査に使用した。それぞれ、「抑うつ・不安」(不安な、悩んでいる、気がかりな、自信がない、くよくよした)、「非活動的快」(のんびりした、おっとりした、ゆっくりした、のどかな、のんきな)、「活動的快」(活気のある、気力に満ちた、元気いっぱいの、はつらつとした、陽気な)の3因子(各因子5項目)を使用した。聴取音楽に「癒し」の効果があれば、「抑うつ・不安」感情は減ると考えられる。また、テンポとメロディは活性、不活性な気分と関係していると予測されるため、それらの気分を表している「活動的快」と「非活動的快」因子を用いることにした。それぞれの項目は、「全く感じていない」の1から、「はっきり感じている」の5までの、5段階で答えさせた。



2)音楽経験の有無

 音楽経験に関する項目を追加した。音楽経験の有無(はい・いいえ)と、「はい」と回答した場合にはその年数を回答させた。



音楽聴取後の気分調査

1)MMS(多面的感情尺度)

 音楽聴取前と同様に、寺崎他 (1991) のMMSから選択した3因子15項目について、5段階で評価させた。



2)「癒し項目」

 「心がやすらぐ」と「心が癒された」の2項目を用いた(松田他, 1998)。MMSと同様に、「全く感じていない」の1から、「はっきり感じている」の5までの、5段階で答えさせた。

3)聴取音楽の好み

 聴取した音楽への好みを調べるため、「好きだったか?」の1項目を追加した。回答は「はい・いいえ」で単一回答させた。



調査手続き

 調査は各聴取音楽群(FC,FS,SS,SC)15名ずつで行った。調査開始前、被験者に調査に関する説明、データ管理、個人情報の管理などについて説明した。その後、現在の感情(音楽聴取前感情)に関する質問に答えさせた。次に音楽を聴取させた。最後に、聴取後の感情を答えさせた。調査時間は全て合わせて約10分だった。



5 結果

テンポとメロディについて

1)MMSについて

①聴取前後の平均値の比較

 聴取前と聴取後のMMSについて、テンポ(Fast VS Slow)×メロディ(Complex VS Simple)×聴取前後(前×後)のMANOVAを行った(表1)。



表1. 各聴取音楽群(各群とも、N=15)の聴取前と聴取後のMMS値の平均値(SD)





 その結果、聴取前後の「抑うつ・不安」に主効果が認められた(F(1,56)=18.41, p<.00)。また、「非活動的快」においても、聴取前後に主効果が認められた(F(1,56)=4.853, p<.05)。どのタイプの音楽を聴いた場合でも、聴取後は「抑うつ・不安」が減り、「非活動的快」が増えることが分かった。「活動的快」においては、聴取前後のMMS値とテンポとの間に交互作用が認められた(F(1,56)=5.37, p<.05)。下位検定として多重比較検定(Bonferroni)を行ったところ、テンポが遅い曲を聴いたときは、「活動的快」の値が減ることが分かった(F(1,56)=8.73, p<.01)。



②聴取前後の変化量

 MMSの変化量を調査するため、「聴取後値-聴取前値=変化量」の計算を行った。分析には計算後の「変化値」を用いた(表2)。テンポ(Fast VS Slow)×メロディ(Complex VS Simple)のMANOVAを行った所、「活動的快」においてテンポによる主効果が認められた(F(1,56)=5,37, p<.05)。テンポが遅い曲を聴取した場合、「活動的快」が減ることがわかった。その他の「抑うつ・不安」、「非活動的快」には有意差が認められなかった。



  表2. 各聴取音楽群(各群とも,N=15)のMMS値と「癒し」得点値の平均値(SD)





2)「癒し」項目について

 各群の「癒し」項目について、MMSと同様にMANOVAによる分析を行った。しかし、各群とも有意差は認められなかった。メロディに関しては差が認められる傾向だったが(F(1,56)=3.67, p=.061)、はっきりとした統計的な差はなかった。各音楽群の平均値を図6にグラフで示した。

    

    図6. 各音楽群の「癒し」項目の平均値。



音楽の好みについて

1)MMSと好みの関係

 MMS変化量について、音楽聴取後の質問項目である「曲は好きだったか」の答え(はい(N=36)、いいえ(N=24))による2グループで分析を行った。t検定の結果、非活動的快に有意差が認められた(t(58)=2.061, p<.05)。聴取した音楽を好んでいたグループは、「非活動的快」値が上昇することがわかった。図7に各感情因子の平均値を示す。それ以外のMMS因子は有意差は認められなかった。

                                       

 図7. 各MMS値の好み別平均値グラフ





図8. 「癒し」項目の好み別平均値グラフ



2)「癒し」項目と好みの関係

 MMS因子と同様に、「癒し」項目についても好みの関係を分析した(図8参照)。t検定の結果、曲を好む群と、好まない群とで、はっきりとした有意差が確認された(t(58)=5.624, p<.000)。前項の音楽群での検定では差が出なかった「癒し」項目だが、好みに関しては、強い関係があることが分かった。好みの音楽を聴いたときは、「癒される」と感じる度合いが、好まないと感じる音楽を聴いたときより大きくなった。



3)音楽の好みを考慮した場合のテンポとメロディとMMS値変化に与える影響について

 音楽の好みがMMS変化に影響を与えていることがわかった。次に音楽の好みを考慮した分析を行った。

 テンポ(Fast VS Slow)×メロディ(Complex VS Simple)×好み(はいVSいいえ)のMANOVAを行った所、「活動的快」にテンポと好みの間に交互作用が認められた(F(1,52)=4.50, p<.05)。また、テンポ、メロディと好みの間にも交互作用が認められた(F(1,52)=4.40, p<.05)。「活動的快」の平均値を、音楽聴取群ごとに好み別(はい、いいえ)にグラフで示した(図9)。





図9. 各音楽群の好み別「活動的快」値の平均値グラフ



 下位検定として多重比較検定(Bonferroni)を行ったところ、テンポと好みに関しては、早い曲を好んだ場合は「活動的快」が増加し、反対に遅い曲を好んだ場合は値が減少することが分かった(F(1,52)=12.64, p<.01)。曲を好まなかった場合は、差は見られなかった(F(1,52)=.005, n.s.)。

 同様にテンポ、メロディと好みに対して多重比較検定を行ったところ、複雑なメロディを好んだ場合は、速いテンポの曲を聞くと「活動的快」が増加し、遅いテンポの曲を聴くと減少することが分かった(F(1,52)=11.82, p<.01)。また、遅いテンポを好んだ場合、複雑なメロディを聞くと「活動的快」が減り、シンプルなメロディを聴くと値が増えることが分かった(F(1,52)=4.311, p<.05)。遅いテンポで複雑なメロディを持つ曲を聴いたとき、曲を好むと「活動的快」が減り、好まなかった場合は値が上昇することが分かった(F(1,52)=7.433, p<.01)。



MMS因子と「癒し」項目の相関関係について

 音楽条件や好みの間に関係が認められたMMS因子と「癒し」項目だが、それぞれのMMSの変化量から相関関係について調べた。表3に相関係数と有意確率を示した。

 その結果、「癒し」得点と「抑うつ・不安」との間に、弱い負の相関関係があることが分かった(r=-0.32, p<.05)。また、「癒し」得点と非活動的快との間にも、比較的強い相関関係があることが分かった(r=0.43, p<.01)。「癒された」という感じは、「のんびりした」「おっとりした」などの非活動的快感情の増加とやや関連し、「不安な」「悩んでいる」等の「抑うつ・不安」感情の減少と関連する可能性が示された。



表3. 各MMS項目と「癒し」項目値との相関係数(危険率)         



6 考察

本研究は音楽を聴取した後で、人の感情と「癒し」感情がどのように変化するのか調査した。音楽的な特徴であるテンポとメロディを変化させ調査を行った。聴取前後の比較では、どの音楽聴取群でも、抑うつ不安的な気分(不安な、悩んでいる、気がかりななど)が減り、非活動的な快気分(のんびりした、おっとりした、のどかな)が増えることが分かった。メロディ、テンポに関わりなく、抑うつ不安的な気分が軽減され、非活動的な気分が増える結果になった。音楽聴取による、ストレス軽減と、リラクゼーション効果が認められたといえよう。

 テンポの違いにおいては、「活動的快」値が関係していることが分かった。遅いテンポの曲を聴いたときは、活動的な快気分(活気のある、気力に満ちた、はつらつとしたなど)が減る結果となった。冒頭部分で紹介した先行研究でも、テンポと活性的感情との間に関係があることがあげられてる。今回の調査でもこれらと同じ結果を得ることができた。

 一方メロディに関しては、その複雑さとシンプルさという観点から調査した。しかし、それら二つの効果を、はっきりと見つけることができなかった。Lise & Isabelle (2003) と Willam & Timothy (2001) は、メロディを変化させず調を変化させ調査を行っている。本研究はメロディそのものを変化させ調査したが、調やコードは変化させなかった。メロディによる違いを見出せなかったのは、感情に直接作用する調やコードを変化させなかったことに原因があると考えられる。

 音楽による癒しを考えるときに、曲に対する「好き、嫌い」は重要な要素になる。本研究でも聴取音楽の好みを調査した。聴取音楽を好んだグループは、非活動的な気分(のんびり、ゆっくりなど)に誘導され、「癒される」と感じることが分かった。「癒し」に関しては好みによる差が顕著に表れた。好きな音楽を聴いたとき、人は癒されると感じることが分かった。テンポやメロディの変化に関わりなく、曲に対する「好き嫌い」が癒し感情に重要な関係がある。「活動的快」に関しては、ゆっくりなテンポを好んだグループが、その値が小さくなることが分かった。

 音楽聴取後の感情変化について、変化が認められる因子があった。各因子の相関関係を調査したところ、1)「癒し」得点と「抑うつ・不安」との間に弱い負の相関関係があり、2)「癒し」得点と非活動的快との間に比較的強い相関関係があることが分かった。曲を聴取したとき、癒されると感じる音楽は、抑うつ・不安的な感情が減り、非活動的快な落ち着いた気分になっていく。このことは音楽聴取がストレス軽減や、気分を落ち着かせる作用があることを示している。

 近年いわれている音楽の、リラクゼーション効果、ヒーリング効果を、今回の調査でも確かめることができた。音楽聴取は、抑うつ不安感情や非活動的な快感情変化に関係している。またテンポは、活動的な快感情の変化に関係している。「癒し」に関しては、曲の「好き、嫌い」が大きな影響を与えている。この結果から、リラクゼーション効果があるとされる音楽を聴取したとき、全ての人が癒されるのではなく、その曲を好む場合に、癒しの効果が現れると考えられる。反対に、リラクゼーション効果がないとされる曲を聞いたときでも、その曲を好んでいれば癒しの効果が現れる可能性がある。

 音楽は、メロディ、テンポ、コードが三大要素といわれている。本研究はそのメロディとテンポに焦点を当て、調査を行った。テンポ、調に関わる研究は多く見られるが、それ以外のコード、メロディに関する研究は少ない。ここにあげた以外にも音楽には様々な要素が、感情に影響を与えていると思われる。また「癒し」関する影響も多数存在すると思われる。Jonathan & Caral (2004) はクラシック音楽とニューエイジ音楽の異なる二つの音楽ジャンルから、リラクゼーション効果について検証している。また先にあげたDarcy(2003) は、音楽のジャンルと好みの歌の効果を、不安感情の軽減から検証している。音楽には多数のジャンルが存在するため、それらに関しても調査する必要があるだろう。今後、「癒し」と音楽の関係について、多数の音楽的要素を、様々な角度から調査していくことが望まれる。





引用文献

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全音ピアノ名曲100選(上級編) (2004). 全音楽譜出版社



著者:

日本大学大学院総合社会情報研究科

人間科学専攻 博士前期課程

内藤 正智

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研究の覚え書き、その壱(モーツァルト効果)

 僕は、音楽聴取後の人の感情の変化について調べている。その調査過程で、ブログの記事になりそうなものがあったら、それを覚え書き程度に書こうと思った。できるだけまともな文章に書きたいつもりだが、誰のチェックも審査も受けていないので、皆さんにどのように思われるか不安だ・・・( ;´∀`)。と無駄な前置きはやめにして、さっさと書き始めようかな。
 1、モーツアルト効果なのか?
 巷ではモーツアルトの曲がもてはやされているらしく、様々な事が言われている。モーツァルト療法、モーツァルト効果、モーツァルトリラクゼーション効果・・・。などなどたくさんのものがあふれている。そんな効果が果たしてあるのだろうか?。僕が参考文献を集めているときにも、「Morart effect」という文字を多く目にした。多くの人がモーツァルトの曲の効果に興味があるのらしい。これだけ多くの研究者が興味をそそられているモーツァルトを、まったく無視することはできまい。と言うことで、僕はモーツァルトが嫌いなのだが、曲を聴いたり、譜面を見たりした。

 1.1 モーツァルトの曲と、気分、空間認知能力向上の関係
 Gabriela,William&E.Glenn(2002)は、音楽聴取したとき、その曲のテンポ、調が、気分と空間認知に与える影響を調査している。その中で、モーツァルトのK448(ピアノ・ソナタニ長調)を題材にそれらを調査している。Gabriela et al.はK448の第1楽章を上級者のピアニストに弾かせ、それをMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データに変換した。そのデータから聴取用の音楽として、1,Fast-maior、2,Fast-minor、3,Slow-major、4,Slow-minorの四つのバージョンを、音楽用シーケンスソフト(Performer)を使い作成している。また、人の空間認知能力、感情調査にはそれぞれ、paper-folding-and-cutting(PF&C)tasksと、The Profile of Mood States(POMS)を使用している。結果として、
1)空間認知能力向上は、遅いテンポより、速いテンポの方が向上し、その効果は長調の方が著しかった。
2)気分については、早いテンポは覚醒を促すこと。長調はポジティブな感情を、単調はネガティブな感情へと変化させること。気分については、テンポは関係性がない。と結論は述べられている。
 この研究ではモーツァルトのピアノソナタを題材に調査している。しかし、その他作曲家によるの曲との比較はしていない。William,E.Glenn and Gabriela(2001)やJonathan and Carolはモーツァルト作曲の曲と、そのたの作曲者による曲との比較を行っている。それはまた機会があったら紹介したい。

参考文献

Gabraiela Husain.,Willam Forde Thompson.,& E.Glenn.(2002).Effects of musical Tempo and Mode on Arousal,Mood,and Spatial Abilities.Music Perception,20(2),51-171.
林知行.(1997).標準 ポピュラー音楽理論,シンコーミュージック.
Jonathan C.smith., & Carol A.Joyce.(2004).Mozart versus New Age Music:Relaxation States Stress and ABC Relaxation Theory.Journal of Music Therapy,41(3),215-224.
William Forde Thomposon,,E.Glenn Schellenberg,.& Gabriela Husain.(2001).AROUSAL MOOD AND THE MOZART EFFECT.American Psychological Society,12(3),248-251.


Sonata for 2 Pianos in D, K.448: I. Allegro con spirito


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音楽聴取後の感情変化についての研究-テンポとメロディと曲に対する好みが感情尺度と癒し感情に与える影響-(修士論文要旨)

音楽聴取後の感情変化についての研究(修士論文要旨
-テンポとメロディと曲に対する好みが感情尺度と癒し感情に与える影響-
(修士論文要旨)

 修論の要旨を書いてみた。1ページ=40字×40行を2ページと言う指定なので、図とか入れられなかった (;・ω・)∩ 。図とか画像がないと、ずいぶん殺風景な文章になるな・・・。 字ばっかり・・・。


 現在の社会は、ストレスの多い社会と言われている。そのような中で、リラクゼーションに関する関心が高まっている。その一つの方法として音楽があげられるだろう。ヒーリング音楽やリラクゼーション効果などを謳った商品が、数多く店頭に並んでいることからもこのことが分かる。音楽はTV、商店やレストランのBGMなど、我々の身近なところで利用され、音楽を耳にしない日がないほどとなっている。このように日常よく利用され、我々に生活に浸透している音楽だが、どのような曲が人の心を癒すのだろうか?。
 テンポについては先行研究によって、速いテンポは「活力」や「活発」などの覚醒に関連した感情を起こさせ、遅いテンポは不活性的な落ち着いた、沈静的な気分にさせる事があげられている。メロディに関しては、複雑なメロディは「怒り」や「悲しみ」の感情に関係があり、シンプルなメロディは「ポジティブ感情」や「喜び」「穏やかさ」などの感情に関係がある事をあげている。音楽と「癒し」の関係を調査した研究で上げられている曲目ついて調査したところ、1)活性的な気分になる音楽は、リズムが強調され、テンポが比較的早い特徴があった。2)癒される音楽については、リズムはそれほど強調されず、テンポがゆっくりで、メロディーがシンプルであることが分かった。以上の事から、テンポとメロディという音楽的な特徴が、感情変化に大きな影響を与えていると推測された。また、音楽に関する好みについても、重大な感情変化の原因になるだろう。好みの音楽の効果を調査した研究からも、その効果が報告されている。
 本研究では音楽を利用した癒しについて、音楽の重要な構成要素であるテンポとメロディの両観点から考察した。また、聴取させた音楽について、好みと「癒し」感情の関係も調査した。そのための方法として、テンポ(fast or slow)とメロディ(simple or complex)の異なる曲を四曲作曲し、それを被験者に聴かせ、その後の感情状態を測定した。好みについては、聴取後の質問紙に項目を設け調査した。
 被験者は日本電子専門学校(電子工学科)の生徒60名(男55名、女5名)を対象に行った。聴取用音楽は、シンプル(Simple[S])なメロディはエンヤ・ウォーターマークを使用した。複雑なメロディ(Complex[C])には、先行研究に上げられている曲目を参考に、ウォーターマークに音符を追加して作成した。メロディ、テンポ以外の音楽的な変化を統制するため、コード進行、伴奏、音色などは各バージョン全て同様とした。テンポは、fast[F]とslow[S]をそれぞれ、160と80bpm(四分の四拍子)とした。聴取前後の感情測定は、MMS(Multiple Mood Scale:多面的感情尺度)から、音楽聴取時に関係があると考えられる3因子を選んだ。因子は、「抑うつ・不安」(不安な、悩んでいる、気がかりななど)、「非活動的快」(のんびりした、おっとりした、ゆっくりしたなど)、「活動的快」(活気のある、気力に満ちたなど)の3因子(各因子5項目)を使用した。それぞれの項目は、「全く感じていない」の1から、「はっきり感じている」の5までの、5段階で答えさせた。調査は各聴取音楽群(FC,FS,SS,SC)15名で行った。現在の感情(音楽聴取前感情)に関する質問に答えさせた後、音楽を聴取させた。聴取時間は約210秒とした。210秒に満たない時は、繰り返し聴取させた。次に聴取後の感情を答えさせた。調査時間は全て合わせて約10分だった。
 調査の結果、聴取前後の「抑うつ・不安」に主効果が認められた(F(1,56)=18.41,p<0.00)。また、「非活動的快」においても、聴取前後に主効果が認められた(F(1,56)=4.853,p<0.05)。どのタイプの音楽を聴いた場合でも、聴取後は「抑うつ・不安」が減り、「非活動的快」が増える事が分かった。「活動的快」においては、聴取前後のMMS値とテンポとの間に交互作用が認められた(F(1,56)=5.37,p<0.05)。下位検定の結果、遅いテンポの曲を聴いたときは、「活動的快」の値が減る事が分かった(F(1,56)=8.73,p<0.01)。次に聴取前後の変化量を分析するため、「聴取後値-聴取前値=変化量」の計算を行った。テンポ(Fast VS Slow)×メロディ(Complex VS Simple)のMANOVAを行った所、「活動的快」においてテンポによる主効果が認められた(F(1,56)=5,37,p<0.05)。テンポが遅い曲を聴取した場合、「活動的快」が減る事がわかった。音楽聴取時の曲に対する好みも重要な要素だが、それについても分析を行った。その結果、非活動的快に有意差が認められた(t(58)=2.061,P<0.05)。聴取した音楽を好んでいたグループは、「非活動的快」値が上昇する事がわかった。また「癒し」項目についても、はっきりとした有意差が確認された(t(58)=5.624,P<0.000)。好みの音楽を聴いたときは、「癒される」と感じる度合いが、好まないと感じる音楽を聴いたときより大きくなった。それぞれのMMS因子の変化量と「癒し」項目から相関関係について調べたが、「癒し」得点と「抑うつ・不安」との間に、弱い負の相関関係があることが分かった(r=-0.32,p<0.05)。また、「癒し」得点と非活動的快との間にも、比較的強い相関関係があることが分かった(r=0.43,p<0.01)。「癒された」という感じは、「のんびりした」「おっとりした」などの非活動的快感情の増加とやや関連し、「不安な」「悩んでいる」等の「抑うつ・不安」感情の減少と関連する可能性が示された。
 本研究は、聴取用の音楽のテンポとメロディを変化させ、聴取後の感情と「癒し」感情がどのように変化するのか調査した。その結果、どの音楽聴取群でも、抑うつ不安的な気分(不安な、悩んでいる、気がかりななど)が減り、非活動的な快気分(のんびりした、おっとりした、のどかな)が増える事が分かった。抑うつ不安的な気分が軽減され、非活動的な気分が増える結果になった。音楽聴取による、ストレス軽減と、リラクゼーション効果が認められたと言えよう。テンポの違いにおいては、遅いテンポの曲を聴いたとき、活動的な快気分(活気のある、気力に満ちた、はつらつとしたなど)が減る結果となった。先行研究でもテンポと活性的感情との間に関係があることが上げられてが、今回の調査でも同じ結果を得ることができた。一方メロディに関しては、その複雑さとシンプルさと言う観点から調査したが、それら二つの効果をはっきりと見つけることができなかった。これは、感情に直接作用する調やコードを変化させなかった事に原因があると考えられる。曲に対する好みに関しても分析したが、聴取音楽を好んだグループは、非活動的な気分(のんびり、ゆっくりなど)に誘導され、「癒される」と感じることが分かった。曲に対する「好き嫌い」が癒し感情に重要な関係がある事が分かった。それぞれの感情因子と「癒し」感情の相関関係を分析したが、癒されると感じる音楽は、抑うつ・不安的な感情が減り、非活動的快な落ち着いた気分になっていく。音楽聴取がストレス軽減や、気分を落ち着かせる作用があると言えよう。 近年言われている音楽の、リラクゼーション効果、ヒーリング効果を、今回の調査で確かめる事ができた。音楽聴取は、抑うつ不安感情や非活動的な快感情変化に関係している。またテンポは、活動的な快感情の変化に関係している。「癒し」に関しては、曲の「好き、嫌い」が大きな影響を与えている。この結果から、リラクゼーション効果があるとされる音楽を聴取したとき、全ての人が癒されるのではなく、その曲を好む場合に、癒しの効果が現れると考えられる。反対に、リラクゼーション効果がないとされる曲を聞いたときでも、その曲を好んでいれば癒しの効果が現れる可能性があると推測された。


内藤 正智.(2006提出予定).音楽聴取後の感情変化についての研究-テンポとメロディと曲に対する好みが感情尺度と癒し感情に与える影響-,日本大学大学院総合社会情報研究科人間科学

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これまでの認知心理学のアプローチと状況論の違いについて

1 認知心理学と状況的認知論について
1-1 従来の認知心理学について 
 従来の認知主義では、厳密なデータを集めるため、場の状況を統制した実験を行ってきた。これらから集められたデータは、ある限られた認知的機能を解明するには相応しい。森と中条(2005)は認知倫理学の研究とは「頭の中に蓄えられた、生活のコンテクストには左右されないような、普遍的な知識を想定する事(p192)」と述べている。上野(2003,p58-63)は保存課題の実験手続きについて紹介しているが、その過程はイメージの提示から、発語、質問への応答など、事細かに統制されている事がわかる。
 初期の認知心理学では、人間を精密なコンピューターの様な物と見なす「情報処理モデル」が想定されている。そこでは、あらゆる認知過程は、電子回路の様な閉ざされた中で処理される、個々の人間の内部のみで発生する事象だと考えられていた。これによって、それまで曖昧で検証が難しかった認知理論の概念や仮説を、厳密に定義することができ、認知科学に大いなる発展をもたらした。
 このようなアプローチが主流の状況では、人間の認知過程の仕組みを解明する事のみが注目され、状況や感情が認知に与える影響が無視されがちだった。しかし、人間はコンピューターではなく、「感情」が存在し、能動的に外界へ働きかけることができる。従来の認知心理学的なアプローチは、外的な要因を含まない知覚や推論、記憶などの認知過程について、ある個体の内的認知過程をモデル化するような場合には適している。しかし現在は認知機能を、今まで軽視されてきた「状況」や感情を加味し、相互作用的なダイナミズムとして捉える機運が高まってきた。

1-2 状況的認知論について
 実験室で得られた様な厳密なデータが、日常場面での認知過程を正しく反映するなら、日常社会に一般化することも容易だろう。しかし、それらのデータが、通常の場面から乖離するものであったら、「生態学的妥当性に欠けるデータを蓄積しているにすぎない」(森と中条,2005,p18)のである。
 このように「状況」を無視した認知心理学だが、日常場面の認知過程はそれ単独で機能することは通常無い。そのたの認知過程と連携し、複雑に関連しながら、最終的な認知を構成している。上野(2003)は「見ること」を例にあげ、「『見ること』にとって本質的なのは、それがどのような状況でなされているかである」(p31)と述べている。同氏は砂漠でオアシスの蜃気楼を見てしまう過程を例に挙げて、状況と認知の関係を述べている。オアシスを見てしまうのは、砂漠でののどの渇きなど、状況に特有の条件があったからだろう。それらの条件が、「見る」という生理的過程を通常となんら変わらないが如く、見させてしまうのだろう。
 また、人間が生活している社会的な背景も、認知に影響を与えているだろう。上野(2003,p32)は、「首を絞められている人を見たとき」を例に挙げて、社会と認知の関係について述べている。「首を絞められている」人を見たとき、「首を触られている」としか見ることができないなら、その見えている事自体は正しくとも、道徳的には不適切だろう。このように、社会的なコンテクストに制約される認知を、エスノメソドロジーとか、認知的エスノグラフィーと呼ぶ」(森と中条,2005,p18)。社会的な規則や風習なども、認知過程に影響を与えているのである。

2 状況論によってもたらされた事
 前章で、置かれている状況や社会的影響が、認知過程に影響を与えている事を述べた。このようなことを背景にして、内的な認知過程のみに目を向けるのではなくて、外的な影響も考慮した状況的認知論が生まれた。参考文献から引用しながら、状況論的な視点から見た研究をいくつか紹介する。

2-1 エスノメソドロジーの視点から(認知的エスノグラフィー?)
森と中条(2005,p22)は従来から考えられている、識字能力と、論理能力や抽象化能力との関係について、認知的エスノグラフィーの視点から考察している。それによると、非識字者に三段論法の課題(「北極圏に生息するクマは白い」、「N市は北極圏に位置する」、「N市に生息するクマは何色か?」)を答えさせると、「N市には行ったことがない」と答えようとしないという。従来の考え方だと、非識字者は経験のコンテクストに固着したままで、脱文略的な思考ができないとされてきた。このような理由から、非識字者は文字使用の欠如から、形式的論理能力が低いとされてきた。しかし、エスノグラフィーの手法で文化的背景を調査すると、論理能力や抽象化能力は、西洋的な学校教育に関係が深い事がわかった。このような社会的背景も考慮する事が重要なのである。

2-2 実験者と被験者の関係について
 前項で論理的推論について例をあげたが、上野(2003,p79)は被験者が属していると感じている成員カテゴリーを考慮して、同じような推論問題について考察している。上野はCole & Scribner(1974)が行った、リベリアに住んでいるクペレ族の人々に論理的推論課題を与え、その答えを調査した研究を紹介している。課題は、「蜘蛛と黒鹿はいつも一緒に食事をします。今、蜘蛛が食事をしています。では、黒鹿は食事をしていますか?」と言う内容だった。被験者の一人だったクペレ族の長老は、「2匹は一緒に食事をしていたのか?」とか「二人は茂みの中にいたのか?」など、事実的な根拠にもとづいて答えようとした。しかし、これらの質問は課題と無関係なため、実験者は回答できなかった。その為長老はそれ以上課題に関して、答えることができなかった。
 これについて上野は、論理問題に答える能力がないと決めつけるのではなくて、課題を与えられたとき、長老が自身を被験者として認識し、課題を論理的に思考しようとしたかが問題だとしている。長老は普段の会話と同じように、実験者が悩みや疑問を持っていて、それを長老に尋ねたと考えていたかもしれない。それであれば、相談者に対しての応答として、困らせない様に注意を払って回答するだろう。
 このように、「実験者」と「被験者」という相互の関係が、成員カテゴリーとして認識されていないと、課題の回答は難しいと考えられる。

2-3 数量の保存課題について
 図1(上野,2003,p60)に示すような数量の保存課題については、ピアジェの理論によると、具体的操作期以前の子供では、課題を正解することができないとされてきた。しかし、上野(2003)は課題提示時の発語による回答への影響がある事をあげている。保存課題は、等判断、変形、保存判断、理由の一連の手続きが行われる。実験者は図の変形前と後で、数量に関して同じ質問を繰り返すことになる。日常会話において、再度同じ質問を繰り返した時は、既知の情報以外の事が求められていると考え、それ以外の新しい情報を提供しようとするだろう。このような時、数量保存の回答が間違ってされる可能性がある。

21_fig1

 この問いに対して、保存課題で用いられる課題に、「コップが壊れているから」とか、「入れ物に入れて持って帰るから」などの理由を付けて行い検証を試みている。

21_fig2

 その結果、これらの文脈を付加したとき、標準課題で正答できなかった子供も、多くが正しい答えを導けたと報告している。文脈を挿入する事で進行中の文脈を「休止」させ、その後再度進行中の文脈に「再会」させるという相互行為によって、変形前後の同一の質問が文字通りの意味を持つ質問と受け取らせる事ができたからである。


引用文献
森 敏昭,中条 和光.(2005).認知心理学キーワード,有斐閣双書
上野 直樹.(2003).状況のインターフェース,金子書房

参考文献
相場 覚.(1997).心理学入門,放送大学教育振興会
Husain,G.,Thompson,W,F.& Schellenberg,E.G.(2002).Effects of musical Tempo and Mode on Arousal,Mood,and Spatial Abilities.Music Perception,20(2),151-171
William R.Balch,& Benjamin S.Lewis.(1996).Music-Dependent Memory:The Roles of Tempo Change and Mood Mediation,Journal of Experimental Psychology:Learning Memory and Cognition,Vol22(6),1354-1363

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音楽療法から見たポピュラー音楽の有効性の考察

報告書概要

学生番号 972-164***-3
氏名 内藤 正智         
所属専攻 発達と教育       

音楽療法から見たポピュラー音楽の有効性の考察

 現在、音楽療法ではクラシック音楽を使った治療、およびその理論が多い。しかし「音楽」を媒体とするなら、クラシック音楽でもポピュラー音楽でも音楽療法に効果があるのではないだろうか。本論文ではポピュラー音楽が音楽療法的に有効であるかどうかを検討するのが目的である。
 そのための方法として各種音楽療法の文献を調査し、音楽療法的に効果があるとされるクラシック音楽、ポピュラー音楽の曲を選定した。次にその曲を受動的音楽療法からみた視点で考察した。考察した点は、リズム、音階、コード進行、音量、音色などである。
 結論として、癒しの効果があるとされるクラシック音楽と、ポピュラー音楽の曲に多くの共通点が見つかった。これにより、ポピュラー音楽でも音楽療法的に有効であると推測された。


目次

はじめに

第1章 ポピュラー音楽のジャンルと音楽療法

  1.1 ポピュラー音楽のジャンルに関して
  1.2 音楽療法について

第2章 先行研究の紹介

第3章 音楽療法理論から見たポピュラー音楽
  
  3.1 曲目について
  3.2 曲の音楽療法理論的考察
  3.3 曲を分析し比較検討する。
    3.3.1 アナログ的音楽の曲分析
    3.3.2 デジタル的音楽の曲分析

第4章 結論

引用・参考文献
はじめに

 現在、音楽療法ではクラシック音楽を使った治療、およびその理論が多い。しかし「音楽」を媒体とするなら、クラシック音楽でもポピュラー音楽でも音楽療法的に効果があるのではないだろうか。この論文は音楽療法から見たポピュラー音楽の有効性についての研究である。
 まずポピュラー音楽とは何かについて述べてみたい。ポピュラー音楽とは、工業化等による分業が進み生産者と消費者が明確に別れている様な社会に特有の大量消費型の音楽である。
 我々が聴く音楽は民族音楽、クラシック、ポピュラーの3種類に大別される。民族音楽とは伝統的な社会習慣や宗教的な影響が特徴となるような伝承的な音楽であり、クラシックとは芸術として鑑賞される音楽である。ポピュラーとは日常的な娯楽として聞かれる音楽である。クラシックでも民族音楽でもジャンルが様々にある様に、ポピュラー音楽についても同様である。表1.1にポピュラー音楽のジャンル表を示す。例としてクラシック音楽、民族音楽に関しても少数上げてみた。(「標準ポピュラー音楽理論」より 林 知行 1997年 p.144-145)
 この表にあるすべてのジャンルの音楽について研究することはできないので、この論文ではいくつかのジャンルを選び代表的な曲目について検討していきたい


 表1.1 ポピュラー音楽のジャンル表
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 本論文はポピュラー音楽が音楽療法的に有効であるかどうかを検討するのが目的である。そのための方法として受動的音楽療法からみた視点で考察する。まず第1章ではポピュラー音楽の概略、音楽療法の概略に関して述べる。次に第2章ではポピュラー音楽を使った音楽療法の事例、論文を多数紹介する。第3章では実際に治療で使われているクラシック音楽などの曲と、ポピュラー音楽的な曲を音楽的に比較検討する。比較する点は、リズム、音階、コード進行、音量、音色などである。第4章では音楽療法からみたポピュラー音楽の有効性を考察したい。
第1章 ポピュラー音楽のジャンルと音楽療法

1.1 ポピュラー音楽のジャンルに関して
 ポピュラー音楽で癒し系音楽としてCDなどで販売されているものがある。それらの代表的な曲のジャンルに関してみつとみ(1999)を参考にしながら簡単に述べてみたい。  
 
 (1)ニューエイジ音楽
 ニューエイジ音楽とは、アメリカのベビー・ブーマーが作り上げた音楽の総称であり、特定のジャンルを指しているわけではない。しかし、実際の言葉の使われ方は、ウィンダムヒル・レーベルを始めたピアノのジョージ・ウィンストンから始まった新しい形のアコースティック・ポップスを指している。ロックの様にリズムが強調されるわけでもなく、ヒットチャート・ポップスの様な定型の構成と親しみやすいフレーズがあるわけでもない。演奏者の感情の赴くままに楽器で表現した音楽である。代表的な作曲家をあげる。アンドレ・ギャニオン、喜太郎、ジョージ・ウィンストンなどである。(p.205)

 (2)映画音楽
 映画音楽とは、映画の中で流れる音楽である。音楽のジャンルを説明するのに、映画音楽のことだけを語っていればすべてのことが理解できてしまうほと、映画で使われている音楽の幅は広い。クラシック音楽から、ロックまでという表現では収まらないくらい、民族音楽、童謡、民謡など、様々なジャンルの音楽が使用されている。ホラー映画の音楽では緊張と恐怖を与えるような音楽、恋愛映画の音楽では心の恋心や平安を表現する音楽など、映画のジャンルにあわせた音楽がある。また、作曲家の個性が映画そのものの個性になっているような映画もある。ある作曲家が映画の音楽を作成すると、その音楽の影響で映画のイメージが決まるといったものである。代表的な作曲家をあげる。久石譲、エンニオ・モリコーネ、マイケル・ナイマンなどである。(p.188-195)


(3)ヒーリング音楽
 人間の脳のアルファ波を増長させてリラックスさせることを目的に作られた音楽を、ヒーリング音楽と言う。ヒーリング音楽は精神医療の分野では患者をリラックスさせるために使われる。音楽的な特徴は二つある。シンセサイザーを使い、リズムがソフトにおさえられた音楽。ギター、ピアノ、フルート、オカリナなどアコースティックな楽器を使い、それぞれの音色を生かし、自然な旋律で人間の心に直接訴えかけるような音楽である。代表的な作曲家をあげる。宮下富実夫、東儀秀樹、エンヤ、セシリア、スーザン・オルボーンなどである。(p.203)

(4)環境音楽
 環境音楽とは、山の中で聞く鳥の声、川のせせらぎ、風の音など、人間と環境の調和から生み出された音楽である。しかし実際には、こうした自然音が存在している環境に人間が作った音楽を持ち込むことはそれらを破壊していることになるので、人工的に作り出された空間に人間が自然界の生物であることを自覚させるために作り出された音楽を環境音楽と言う。代表的な作曲家をあげる。モーガン・フィッシャー、スティーブ・ライヒなどである。(p.204)
 
 1.2 音楽療法について
 本論文はポピュラー音楽を受動的音楽療法からみた視点で考察するのが目的である。そこで、まず下記に受動的音楽療法の概略を述べたい。

 (1)受動的音楽療法について
 音楽療法の大まかな概念として、能動的音楽療法と受動的音楽療法がある。能動的音楽療法は受療者自身がセラピストと共に音楽を演奏する。能動的音楽療法とは音楽の演奏を用いる音楽療法である。演奏の種類は、声楽、器楽、そして即興などが含まれる。
 一方、受動的音楽療法は、音楽鑑賞を中心とした音楽療法である。治療場面で音楽が再生され、その音楽を聴く行為の中に音楽療法的な工夫が施されている。受動的音楽療法には音楽鑑賞グループ活動の他に、調整的音楽療法RMT(Regalative Imagery and Music)、GIM(Guided Imagery and Music)、嗜好拡大法、音楽処方などが含まれている。(村井,2001, p.90)

 (2)GIM(Guided Imagery and Music)について
 GIMとは、アメリカの音楽療法士ヘレン・ボニーにより開発された聴取的音楽療法の一技法であり、主として個人療法として用いられる。 患者はリラックスした状態で、ある特別に選択された、たいていはクラシック音楽を聴取し、内的イメージや身体感覚、感情、思考を湧き上がらせるにまかせ、無心に追跡する。そのイメージをガイドに報告する。ガイドは、クライエントと積極的に対話しながらクライエントが追っている視覚的イメージを誘導していく。このように誘導されたイマジネーションは無意識的体験の表現として理解される。それを活性化し内省することは、精神内界の葛藤を意識化することとならんで、内的資源を解放し、自己治癒プロセスへと導く。(音楽療法事典,1999, p.227) 


 (3)音楽処方について
 音楽処方は、疲れたと感じたり、いらいらしているとき、憂鬱なときなどの心理状態のときに、音楽を聞きその心理状態を軽減させることである。
 いらいらしているときなどは、人間性のあるアナログ音楽ではなく、激しいデジタル音楽を大きな音量で聴くと効果がある。旋律的音楽ではなく、リズム的な音楽が適する。
 不安解消のためには、心が弾むような楽しさの要素が必要で、人間的で楽しい踊り系の音楽が適する。(村井,2001,p134-138)

 (4)調整的音楽療法(RMT)
 「調整的音楽療法はシュヴァーベによって開発され、1977年に初めて発表された「音楽療法の方法論」の方法体系に属するものである。」(p.392)
 「RMTは音楽鑑賞の影響下におかれている患者の、徐々に強くなる自己知覚という行動原理に立脚している。受容できる知覚の内容と、受容できない知覚の区別に向けられる自己の知覚は、体験したことの内容に対して意識しながら積極的に自分の身を委ねるということをとおして現実化される、という行動の実現からなる。」(p.392)
 「RMTのために使われる音楽は、内容が豊かで多重的な構造をもった「芸術」音楽からなる。各種の音楽選択において、音楽構造、集団の状況、グループの参加者の状態、意図された活動の方向性、起こりうる反応などに関して、セラピストが高度の知識を持たなくてはならないということが要求される。」(p.391)(音楽療法事典,1999,p.392-395)
 
第2章 先行研究の紹介

この章ではポピュラー音楽を取り上げた音楽療法に関する先行研究、とくに受動的音楽療法研究の、論文、書籍の内容を紹介し、現在までの動向を概説する。
 以下にポピュラー音楽を使った音楽療法の論文の概略を示す。このテーマによる先行研究は非常に少ないが、以下のようなものがある。
 まず「精神保健および教育分野における音楽療法」より三つ紹介しよう。

(1)「セラピーにおける音楽の文化的側面」 
ルース・ブライト(Ruth Bright,2000)
  
 ”文化に対する認知の音楽療法への適用”と題される章で、
「ダニー・ボーイ」の歌を実践の中で使ったものがある。この歌は歌詞、ハーモニー、ピッチ、演奏の速度、全体的な構造によって一般的には悲しい音楽として感じられる。ところがあるセミナーでこの曲が流れ出すと笑い始める人がいた。「彼は、自分のオフィスではこの曲が、「パイプが、パイプが呼んでいる」という歌詞にかけて、トイレに行っている間は誰か電話に出ておくれ、と頼むのに使われていると説明した。」(p.270)
 また一方、トゥーアップというコインを使った非合法の賭けのことを歌ったオーストラリアのユーモラスな歌を聴いて高齢の男性が激しく泣き出した。彼はシドニーのハーバーブリッジの建設現場で働いていたことがあり、この歌によって、橋から転落して亡くなった友人を連想したのだった。
 このようなことから、1つの曲に1つの絶対的な感情的内容があると考える、既存の音楽に関して従来言われていることが当てにならないものであることを示している。個人的な連想が統計資料の信頼性に影響を
与えているのである。

 (2)「音楽-脳へのスーパービタミン」 
          デニス・アーダンメズ(Denise Erdonmez,2000)

 アルツハイマー病とその他の痴呆の章から「青い服を着た2人の少女」の歌を使った研究である。音楽療法では歌を利用してクライエントの記憶を呼び起こそうとする。アルツハイマー病や他の痴呆状態の人においては、短期記憶のシステムは深刻な損傷を負っている。しかし丸暗記によって蓄えられた長期記憶は良好な状態で保持されている。あるクライエントは長期記憶に保存されている「青い服を着た2人の少女」の歌の情報を、正確なメロディと歌詞で歌うことによって、呼び戻すことができるのである。

 (3)「統制と創造性-拘禁施設に収容された少年を対象とした
    音楽療法」 
クレア・フラワー(Claire Folwer,2000)

 ピーターという少年の症例から、「イーステンダーズ」の曲を使った音楽療法である。少し長いが本文を引用してみよう。「ピーターというクライエントは、「イーステンダース」のテーマ曲がお気に入りだった。既成のメロディの使用は、彼にとって安全な音楽上の出発点になり、彼はそこからであれば音楽療法のセッションという潜在的に危険を秘めた世界の探求に着手できたのである。これは多少音楽という手で自分を支えてくれる何かにしがみつくというようなところがあった。エインワーズの行った、馴染みのない環境に置かれた母親と幼児の観察(1979)を思い出させるものである。エインズワーズは、母親と幼児の間に健全な愛着があれば、子供はしばらくの間、母親にしがみつき、その後少しずつあたりを探求し始めるということを指摘した。ピーターが「イーステンダーズ」のメロディを繰り返し演奏するというのは、これに対応する音楽的愛着であり、彼にとってより広範にわたる探求を開始するための、避難所の役割を果しているように思われた。」(p.71-72)

 次に「音楽療法入門-理論と実践-下」より、クレア・ギボンス(1977)の研究を紹介する。

 高齢者におけるポピュラー音楽の嗜好 
            アリシア・クレア・ギボンス(1977)
 高齢者への音楽療法の実践における基本的前提として、高齢者たちは自分の若い時の音楽を他の時代の音楽よりも好むこと、また好きな音楽は、音楽療法への参加を促すこと、そして刺激的な音楽よりも静かな音楽を好むこ傾向があるなどが一般的に言われている。このことを調べる為に著者は高齢者の音楽嗜好についての上の仮説を検証した。
 結果から、1)高齢者たちは若い頃流行した音楽を、それ以降に流行した音楽に比べて強く好むことを示していた。2)鎮静的音楽と刺激的音楽の好みの相違については、統計的に有意な差は出なかった。3)しかしデータからは、高齢者たちが静かな音楽よりも刺激的な音楽を好む傾向があることが示された。

日本における研究でも、ポピュラー音楽に関するものは少ないが、一つ紹介する。

 「”癒し音楽(Healing music)”に関する基礎研究(1)」
後藤 靖宏(2000)
 著者は、被験者に音楽を聴かせた後、質問紙法を用い「音楽を聞いて癒されるのはどのようなときか?」、「癒されると感じるのはどのような種類(ジャンル)の音楽か?」などを調査した。実験に用いられた音楽の中に、エンヤ、坂本龍一などポピュラー音楽的なものが含まれていた。結果から、”癒し音楽”とされる種類の楽曲以外にも癒しの効果を感じる曲があることが示された。
 これらの研究から、a)、実際の音楽療法でポピュラー音楽が使われていること、b)、事例は少ないがポピュラー音楽が有効だったものがあること、c)、ポピュラー音楽の研究自体はまだ基礎段階であること、がわかる。受動的音楽療法的な物を集めたが、やや能動的音楽療法的なアプローチがされているものがあった。音楽療法の研究者間でもポピュラー音楽に対して関心が高まっていると推測されるが、まだクラシック音楽を使った研究に比べると研究数が少なく、まだ基礎的な段階にあると言わざるを得ないだろう。


  
 第3章 音楽療法理論から見たポピュラー音楽

 音楽療法において有効であるとされるクラシック音楽、ポピュラー音楽の曲目を挙げ、それを音楽的、および音楽療法的側面から概観する。

 3.1 曲目について

 (1) クラシック音楽、ポピュラー音楽の曲目について
   藤木(2000)は、日本で出版されている音楽療法
関連の書籍を参考として、各症状に有効とされているクラ
シック音楽の曲をあげ、概観している。それによれば、
不眠、ストレスによる心身症、不安緊張などの症状に効果が
あるとされている共通の曲目が複数ずつ挙がっている。
・不眠に有効とされる曲
ショパン:子守歌作品57
ドピュッシー:夢
   ・ストレスによる心身症、疲労を癒す効果がある曲  スメタナ:モルダウ
バッハ:ブランデンブルグ協奏曲
   ・不安緊張の高まりを鎮める曲目
シューベルト:トルコ行進曲
ビバルディー:協奏曲「四季」
 以上のような曲目が上がっている。(「音楽療法における処方箋を探る文献調査研究」より 藤木 淑子 2000)
 本論文では、リラクゼーションに効果があるCDを紹介している書籍から、クラシック音楽関連、ポピュラー音楽関連の曲目を調査することにした。各種CDに収録されている頻度の高い曲を選び、表を作成した。表3.1.1,3.1.2参照。(音楽でリラックス,2000,p2-48)

表3.1.1 癒し系クラシック音楽リスト
gt_fig11.gif

表3.1.2 癒し系ポピュラー音楽リスト
gt_fig12.gif

 表3.1.1はクラシック音楽のリストである。表はリラクゼーション音楽CDに収録されている頻度が高い順に並べられている。作曲家出現回数は調査したリスト中にその作曲家が出現した回数である。表の上位と言うことは、それだけCDに収録された回数が多いことになる。CDに収録された回数が多いことは、癒しの効果が複数の選曲者に認められていると解釈される。
 表3.1.2はポピュラー音楽のリストである。ポピュラー音楽だけでまとめられている癒し系のCDも存在するが、数が少なく、登場する曲、作曲家も販売するそのレコード会社によってまちまちであった。ポピュラー音楽はその作曲家が専属のレコード会社から主にCDを販売するため、クラシック音楽のように様々なレコード会社から出ることはない。そのためCDの種類が少なく、順位付けを行えるほどデータがなく、代表的な曲と作曲家をあげるに止まった。

3.2 曲の音楽療法理論的考察
 本章では13ページの表より曲を音楽的、音楽療法的に考察する。

 (1)曲目表の考察
 クラシック音楽、ポピュラー音楽の両曲目表を村井氏の言う、「アナロク音楽」、「デジタル音楽」の概念に基づいて考察したい。
 「アナロク音楽」とは、村井氏によれば大きな揺れが見られ、「テンポはゆっくりで、音の素早い動きは押さえられ、個々の音より、音の集合がもたらす大きな旋律の動きが心に響くような音楽」(村井 1999 p.70)と言うことである。より人間的で、人間の感情を表現した音楽と言えるであろう。
 一方「デジタル音楽」とは、細かな揺れが多く見られる音楽で、人間的な深い感動などがあまり見られない音楽である。「アナロク音楽」のように旋律が強調されるのではなく、音の1つ1つが独立し、それらが心地よい動きとして感じられる音楽である。なお、激しさと結びついた「デジタル音楽」はいらいらを解消する音楽として効果があるとされている。
 以上の概念に従って、表3.1.1、表3.1.2の曲目を、「アナロク音楽」、「デジタル音楽」に分類し、改めて表を作成した(表3.2.1参照)。
 
(2)アナログ音楽について
 表3.2.1より「アナログ音楽」に種別された曲ついて考察したい。
 全体を通して言えることは、テンポがゆっくりした音楽が多いこと、音量など強弱のうねりがあること、旋律が強調される音楽であることが言える。表内の曲目は長調が多かった。
 クラシック音楽では、さまざまな楽器を使っているものが多い。声楽曲もあった。
 ポピュラー音楽では、ピアノを使ったものが多かった。シンセサイザーなどを使っている曲もあった。

(3)デジタル音楽について
 表3.2.1より「デジタル音楽」に種別された曲ついて考察したい。まず曲数だが、アナログ音楽に比べて数が少ないことが言える。癒しを目的とした音楽には「デジタル音楽」よりも、「アナロク音楽」がより適すると考えられる。
 曲を見ると、「デジタル音楽」の特徴である、響きよりも個々の音が強調され、細かな揺れとなって流れていく。

表3.2.1
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3.3 曲を分析し比較検討する。
 本章では表より曲を選定し、譜面などを用いて比較検討する。表3.2.1よりクラシック音楽、ポピュラー音楽から、それぞれアナログ的音楽から各1曲。デジタル的音楽からクラシック音楽2曲、ポピュラー音楽1曲、計5曲を選び考察する。選定した曲はアナロク的音楽からクラシック音楽より「G線上のアリア」、ポピュラー音楽より「エナジーフロー(energy flow)」である。デジタル的音楽からクラシック音楽より「カノン」、「主よ、人の望みの喜びよ」ポピュラー音楽より「ピアノレッスン(The heart asks pleasure first)である。曲の分析は1から19小節目まで行った。

 3.3.1 アナログ的音楽の曲分析
 アナログ的音楽である、J.S.バッハの「G線上のアリア」、坂本龍一の「energy flow」を音楽的観点から検討し、分析結果を以下に述べる。下記に2曲の譜例を示す。譜例3.3.1、譜例3.3.2参照

譜例3.3.1 J.S.バッハ、「G線上のアリア」
f1


譜例3.3.2 坂本龍一、「energy flow」
f2


 (1)音の強さの変化などについて
 音の強さの記号(mp,pなど)と、強弱記号(クレッシェンド、デクレッシェンド)の数を譜面より調べて、表にした(参照 表3.3.1)。


表3.3.1 音の強さ記号、強弱記号集計表
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強く弾く傾向のある記号、f(強く)などの記号は、G線上のアリアでmfが1つあったのみであった。全体的に音量を抑えて演奏する曲であることが分かった。
 強弱記号は両曲ともに細かな記述があり、G線上のアリアの方が数が多かった。演奏に音量面で強弱を付けている。「アナログ音楽」の特徴である、音量など強弱のうねりがあることが譜面より見て取れる。

 (2)テンポ、速さついて
 両曲のテンポ、速さを調べた。「G線上のアリア」は1分間に四分音符で52~54でLargo、「energy flow」は1分間に四分音符80~96でModeratoの表記があった。Largoは「非常に遅く」、Moderatoは「中くらい」の早さ、と言う速度になる。
 「G線上のアリア」はゆったりとしたテンポで進行していき、弦楽器の響きを強調する曲である。「アナログ音楽」の特徴であるテンポがゆっくりした音楽であると言えるだろう。
 「energy flow」は中くらいの速さで進行していく訳だが、付点四分音符、八分音符が中心で速さはあまり目立たなく、むしろメロディがより強調されている曲であると思われる。「アナログ音楽」の特徴である旋律が強調される音楽であることが言えるだろう。
  
 (3)コードについて
 譜面よりコード(和音)を調べた。使用されているコードの割合、メジャー系コード、マイナー系コードの比率、主調内、主調外のコードの割合などを計測した。
 まず曲内で使われているコードの種類とコードの割合について述べたい。図3.3.1、図3.3.2を参照されたい。
 図3.3.1は「G線上のアリア」のコードの割合図である。使用していたコードは12種類で比較的多い種類のコードが使われていることが分かる。最も多く使われているコードは「A」だった。ニ長調だと「A」の和音は属和音になり、主音である「D」のコードに進行すると安定すると言われている為であろう。半音で進行するコード進行なども多く見られ、その為D#mやAmが使われていると思われる。
 図3.3.2は「energy flow」のコード割合図である。使用しているコードは12種類だった。最も多く使われているコードは下属和音である「F」であった。この図から、使用しているコードの度数見ると「G線上のアリア」と同じ傾向があると考察される。クラシックではあまり見られない「sus4」コードなどの使用もあった。
 各曲ともに多くのコードを使用していることが分かった。メロディを優先にする音楽は、様々なコードを使うと考えられる。コード進行を滑らかにし全体の響きを優先するより、コードがメロディを細かく補助する役割を負っている曲なのではないだろうか。そうすることによって、よりメロディが強調されると思われる。

図3.3.1 「G線上アリア」コード割合図
2005_fig2

図3.3.2 「enrgy flow」コード割合図
2005_fig3

 次に各曲のコードの比較をしてみたい。図3.3.3を参照されたい。上でも述べたが、まず2曲とも主調内、主調外を問わず様々なコードが使われていることが、この表より分かる。主調以外のコードの割合は40%に達している。曲としての安定よりも、旋律の美しさを優先した結果なのではないだろうか。
 メジャー系、マイナー系コードの割合だが、マイナー系コードの使用が多いことが分かった。これも両曲ともに同じ傾向を示している。どちらも長調の曲だが、マイナー系(短調)のコードを使うことによって、哀愁漂う、どこか切ないような響きに聞こえるのはこのためではないだろうか。
 音楽療法の理論のなかで「同質の原理」と言うものがある。これは「悲嘆を克服するにあたって、気持ちと同質の音楽が治療的効果をもたらす」(「音楽療法事典」p.23)と言うものである。つまり悲しい時には、悲しい音楽を聴いた方がよいとする考えである。「energy flow」が大ヒットしたのも、不況など世俗の悲しい雰囲気と、曲のどこか悲しい響きが世の中の気分に合ったために、多くの人々に受け入れられた結果なのではないだろうか。多くの人に癒しの効果が認められている「G線上のアリア」とポピュラー音楽の「energy flow」が音楽的に見て同じ傾向にあることが明らかになった。したがって、ポピュラー音楽も人の心の癒しに効果があると言えるのではないだろうか。
 
2005_fig5
図3.3.3 各曲コード分析表


3.3.2 デジタル的音楽の曲分析
 デジタル的音楽に関しても、アナログ音楽と同様に分析をしてみることにした。曲目はパッヘルベルの「カノン」、J.S.バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」、映画「ピアノレッスン」のテーマ曲であるマイケルナイマンの「The heart asks plesure first」である。下記に3曲の譜例を示す。譜例3.3.3、譜例3.3.4、譜例3.3.5を参照


譜例3.3.3 パッヘルベル、「カノン」
f3

譜例3.3.4 J・S・バッハ、「主よ、人の望みの喜びよ」
f4

譜例3.3.5 マイケルナイマン、「The heart asks pleasure first」
f5


 (1)音の強さの変化について
  アナログ的音楽と同様に音の強さの記号(mp,pなど)と、その他強弱記号(クレッシェンド、デクレッシェンド)の数を譜面より調べ、表にした(参照 表3.3.2)。

表3.3.2 音の強さ記号、強弱記号集計表
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 演奏の強さに関しては、弱く弾く傾向があることが分かった。「The heart asks plesure first」では強く弾く、fが1つあった。
 強弱記号は、アナログ的音楽に比べるとその数が少なくなった。デジタル音楽は響きよりも個々音が強調される傾向があるため、音の強弱を付ける記号は少なくなると言える。
 曲は全体的に流れるようにではなく、個々の音をはっきりと弾く曲であることが分かった。

 (2)テンポについて
 アナログ的音楽と同様に、テンポ、速さなどについて調べた。「カノン」は1分間に八分音符で52~58でLargo、「主よ、人の望みの喜びよ」は1分間に四分音符で66~69でAdagio、「The heart asks plesure first」は1分間に付点四分音符で46~56でLargoであった。
Largoは「非常に遅く」、Adagioは「遅く」という速度になる。
 3曲ともあまり早い速度ではないが、音符の数が多いため速く、リズミカルに聞こえる。響きを強調するようなものは少なく、次から次に音が出てくるような感じをうける。メロディを伴奏する音も細かい音が多く、デジタル的音楽の特徴である、細かな揺れが多く見られると言うのをよく表している。

 (4)コードについて
 アナログ的音楽と同様に、使用されているコードの割合、メジャー系コード、マイナー系コードの比率、主調内、主調外のコードの割合などを調べた。 
 まず各曲のコードの割合について述べたい。
 図3.3.4は「カノン」のコード割合図である。使用されているコードの数は、5種類であった。これは比較した曲の中で最も少ない数であった。「カノン」では規則正しいコード進行が守られている。特殊なコードを使うことはない曲であった。
 図3.3.5は「主よ、人の望みの喜びよ」のコードの割合の図である。使用されているコードは6種類であった。この曲もやや不規則であるが、秩序のあるコード進行となっている。ややメロディを強調するところもあるが、アナログ的音楽程ではなく、全体的には規則正しい流れを持った曲と言える。
 図3.3.6は「The heart asks plesure first」のコード割合図である。使用しているコードは8種類であった。この曲は短調なのでマイナー系のコードが多く使われている。上記の2曲より多くの種類のコードを使っていると言える。コード進行はあまり規則正しくはなく、「Am」を多く使う曲である。

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図3.3.4 「カノン」コード割合図


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図3.3.5 「主よ、人の望みの喜びよ」コード割合図


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図3.3.6 「The heart asks pleasure first」コード割合図

 3曲ともに主和音、属和音、下属和音を多く使っていることが言える。この三つの和音を多く使うことによって、曲が安定して聞こえると考えられる。
 次に各曲のコードを比較してみたい。図3.3.7を参照されたい。
3曲とも主調内のコードを主に使うことが分かった。主調内のコードを使うことによって、転調感を押さえ、安定して聞こえるようにしているのではないだろうか。少ないコードを使っているため、多彩なコード進行は見られず、比較的規則正しいコード進行になっていると言えるだろう。
 イライラを解消する音楽としては、「旋律的音楽よりも、リズム音楽が適する」(村井,1999 ,p.136)とする考えがある。上記のようなリズム、コード進行が安定し、規則正しい曲は、乱れた心を整え安定させ、そのようないらいらの症状に効果があるのではないだろうか。
 メジャー系、マイナー系コードの割合だか、長調ならメジャー系のコードを多く使い、短調ならマイナー系のコードを多く使うことが示された。


表3.3.7 各曲コード分析表
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4 結論
 本論文では、「音楽」を媒体とするなら、ポピュラー音楽でも音楽療法的に効果があるという仮説を検討した。そのために実際に治療で使われているクラシック音楽の曲と、ポピュラー音楽的な曲を譜面上から音楽的に比較検討した。その結果、リズム、コード進行、コードの使用している割合、音量などの面で、癒し系とされるクラシック音楽とポピュラー音楽の曲の間に、音楽的に多くの面で似通った傾向が見られた。癒しの効果が高い曲として、アナログ的音楽は、メロディや響きが強調され、コードの使用数が多い曲と言える。デジタル的音楽としては、リズミカルで音符の数が多く、コードの使用数が少ない曲と言えるだろう。今回の研究の結果、ポピュラー音楽でもそのような特徴のある曲が多数発見できた。このことからポピュラー音楽が受動的音楽療法において有効であると推測される。
 先行研究を概観した章でも触れたが、ポピュラー音楽を使った音楽療法の実践、研究は非常に少ない。ポピュラー音楽が音楽療法で多く使用されない理由を上げてみると、a)教育が進んでいない、b)著作権の問題で、使用が難しい、c)新しい物が次々に出てるので、研究しにくい、などが言えるだろう。
 我が国の音楽教育ではクラシック音楽が主である。その理由はクラシック音楽が体系として確立されていることが言える。ポピュラー音楽はその時代によって常に変化するものである。現在ポピュラー音楽で、ヒーリング音楽というジャンルが確立され始めている。このことからも、人々が癒しを求めていると推測される。
 ポピュラー音楽の利点としては次の事が言えるだろう、a)親しみやすいこと、b)手に入りやすいこと、c)知識がいらないこと、などであろう。クラシック音楽に慣れていないクライエントを音楽療法で治療するときも、ポピュラー音楽を使用すれば滑らかに治療が進む事もあり得るだろう。本研究ではポピュラー音楽の音楽療法における有効性を検討したが、次は実証的な研究を行って行かなくてはならないだろう。
 音楽は芸術であるので、人によって感じ方が異なる。ルース・ブライト(Ruth Bright,2000)の「セラピーにおける音楽の文化的側面」の研究からも、1つの曲に1つの絶対的な感情的内容があるとする考えに疑問が投げかけられた。癒しの効果があるとされる曲に対して、絶対的に癒しの効果があると一義的に決めることはできない。しかし、クラシック音楽、民族音楽、ポピュラー音楽を問わず、多くの人々に癒しの効果が認められている曲がある。そのような曲を音楽的、音楽療法的にさらに深く研究していくことが、今後の課題となるであろう。我々はクラシック音楽だけにとらわれず、もっと様々な音楽のジャンルに対して目を向け、研究を行わなくてはならないのではないだろうか。
 最後に、この研究、論文の作成にあたり、いろいろな助言くださった相場 覚先生と、研究の進行、論文の添削、作成の助言などお忙しい中をご指導していただいた星野 悦子先生に心よりお礼を申し上げたい。

引用文献

林 友行、1997、 標準 ポピュラー音楽理論、シンコーミュージック
ハンス・ヘルムート、D・フォイクト(他編著)・(坂上正巳 他訳)、 1999、音楽療法事典、人間と歴史社
マーガレット・ヒール、トニー・ウィングラム(編)・(蓑田洋子 訳) 村井靖児(監訳)、2000、精神保健および教育分野に おける音楽療法、音楽之友社
みつとみ俊郎、1999、音楽のジャンルって何だろう、新潮社
村井靖児、2001、音楽療法の基礎、音楽之友社

参考文献

ヘレン・ボニー、ルイス・サバリー・(村井靖児、村井満恵 訳)、2000、 音楽と無意識の世界、音楽之友社
W・B・デイビス、K・E・グフェラー、M・H・タウト・栗林文雄(訳)、 1999、音楽療法入門-理論と実践-上、一麦出版社
W・B・デイビス、K・E・グフェラー、M・H・タウト・栗林文雄(訳)、 2001、音楽療法入門-理論と実践-下、一麦出版社
藤木淑子、2000、音楽療法における処方箋を探る文献調査研究、放送大 学卒業論文集
後藤靖宏、2000、”癒し音楽(healing music)”に関する基礎調査、北海 道心理学研究、第23号
音楽でリラックス、2000、 音楽之友社
篠田元一、1997、 新・実践コード・ワーク1、Rittor Music
Even.Rund・ (村井靖児 訳)、2000、音楽療法-理論と背景-、ユリ シス・出版社
田中多聞、1997、第五の医学音楽療法、人間と歴史社

譜例引用文献

No278 主よ、人の望みの喜びよ、1997、全音楽譜出版社、p1
ピアノ・ピース坂本龍一「ウラBTTB」、1999、KMP、p2
ピアノソロ マイケル・ナイマン「ピアノレッスン」、1996、シンコー ミュージック、p25
新編 世界大音楽全集 声楽編3 シューベルト歌曲集Ⅲ、1991、音楽 之友社
最新名曲解説全集 第24巻 声楽曲Ⅳ、1981、音楽之友社
最新名曲解説全集 第16巻 独奏曲Ⅲ、1981、音楽之友社
全音ピアノ名曲100曲(初級編)、2000、全音楽譜出版社、p14,40
全音ピアノ名曲100曲(中級編)、1998、全音楽譜出版社

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研究の覚え書き、その八(曲に対する好みの影響)

5 聴取音楽の好みの影響
 5.1 好みの音楽を聴いたときの効果
 音楽には様々なジャンルがある。そのた、テンポ、調、曲調など、様々な要素が絡み合っている。人間の感情に与える影響において、普遍的とも言える要素もあるが、その他の多くはまだはっきりとは解明されていない。
 様々な様式、ジャンルのある音楽だが、聴取音楽の「好み」に焦点を当てた研究がある。Laura ,MacDonald,& Eric(2005)らは、冷水を使った痛みをどれくらいの時間耐える事ができるかを、好みの音楽を聴いた場合、コメディを聞かせた場合、算術問題を計算させた場合で比較している。その結果、好みの音楽を聴いた群は、その他の群より長い間刺激に耐えることができた、と報告している。
 上記の調査は痛みに対して行われたが、その他の感情や「癒し」にも、「好み」が影響を与えていると考えられる。
 

参考文献
Laura A,Mitchell,Raymond A.R,MacDonald,& Eric E.Brodie.(2005).A comparison of the effects of preferred music, arithmetic and humour on cold pressor pain,European Journal of Pain,SCIENCE DIRECT.
 

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研究の覚え書き、その七(音楽の聴取時間と感情について)

 4 音楽の聴取時間と感情変化
   4.1 脳波の変化と感情の関係
 前回までは、人を覚醒させたり、安らぎを与えたりするのが、如何なる音楽なのかを述べてきた。今回は、どれくらいの時間音楽を聴取すると、そのような感情の変化が起こるのかを、参考文献を挙げながら考察したい。
Schmidt & Trainor(2001)は音楽を聴取させながら脳波を測定し、どのような変化が現れるのか調査している。聴取させた音楽と誘導しようとした感情はそれぞれ、プロコフィエフの「Peter and wolf by Prokofiev」(恐怖)、バッハの「ブランデンブルグ協奏曲 第5番」(喜び)、ビバルディの「春」第二楽章(幸福)、ハーバーの「アダージョ」(悲しみ)である。聴取と脳波測定時間は60秒だった。結果は、それぞれの曲で、脳の活性部位(右半球か左半球か)や、脳波の強度が異なったと報告されてる。音楽は、60秒という比較的短い時間でも、脳波や感情に影響を与えているようだ。
 
参考文献
Schmidt L A.,& Trainor L J.(2001),Frontal brain electrical activity(EEG) distinguishes valence and intensity of musical emotions,Congnition and Emotion,15(4),487-500

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研究の覚え書き、その六(「癒し音楽」の仮説)

 この前ゼミがあって、研究方針はこれで良しといわれたので、そのとき立てた仮説を載せようと思う。

4 癒し音楽の音楽的特徴とその検証

1 はじめに
 現在の社会は、ストレスの多い社会と言われている。そのような中で、リラクゼーションに関する関心が高まっている。その一つの方法として音楽があげられるだろう。ヒーリング音楽やリラクゼーション効果などを謳った商品が、数多く店頭に並んでいることからもこのことが分かる。音楽はTV、商店やレストランのBGMなど、我々の身近なところで利用され、音楽を耳にしない日がないほどとなっている。このように日常よく利用され、我々に生活に浸透している音楽だが、どのような曲が人の心を癒すのだろうか?。本研究では、音楽を利用した癒しについて、音楽の重要な構成要素であるテンポとメロディの両観点から考察したい。
 テンポについては先行研究によって、その違い(早いテンポ、遅いテンポ)による感情の変化について調査されている(Balch & Lewis,1999;Balkwill & Thompson,1999;Husain,Thompson,& Schellenberg,2002)。これらによれば、速いテンポは「活力」や「活発」などの覚醒に関連した感情を起こさせ、遅いテンポは不活性的な落ち着いた、沈静的な気分にさせる事があげられている。
fig1
 メロディに関しては、Balkwill & Thompson(1999)が複雑なメロディは「怒り」や「悲しみ」の感情に関係があり、シンプルなメロディは「ポジティブ感情」や「喜び」「穏やかさ」などの感情に関係がある事をあげている。また松田・厚味・,鈴木(1998)は「心が安らぐ」「心がいやされる」音楽について調査しているが、上位三位までにあげられた曲(エンヤ・ウオーターマーク(fig1参照)、リスト・愛の夢第3番、神山・水色の幻想)を調査したところ、メロディはシンプルであることが分かった。メロディの複雑とシンプルさには、聴取後の感情に与える何らかの影響があると思われる。
 Thompson,Schellenberg,& Husain(2001)はモーツァルトの K448(ピアノ・ソナタ、ニ長調,fig2参照)とアルビノーニのAdagio ト短調 for Organ and Stringsの両作曲家による曲を使って、聴取子の気分変化の差を調査している。その結果、モーツァルト聴取群は活性的な気分が高まり、アルビノーニ聴取群は沈静的気分が高まったと報告している。これらの曲をメロディの複雑さとテンポから見てみると、K448はメロディが複雑でテンポが早い、アルビノーニのAdagio ト短調はメロディがシンプルでテンポが遅いという特徴があった。また、松田・厚味・伊東(2001)と松田他(1998)はそれぞれ、「元気になる音楽」と「心が癒される音楽」について調査している。これらの調査の中で上位にあげられた曲を聴き、譜面などから音楽的特徴を検討した。その結果、1)元気がでる音楽は、リズムが強調され、テンポが比較的早い特徴があった。2)癒される音楽については、リズムはそれほど強調されず、テンポがゆっくりで、メロディーがシンプルであることが分かった。これら考察から、Thompson et al.(2001)の沈静的気分誘導音楽と松田他(1998)の「癒し音楽」との間に、メロディとテンポに関して共通点が見つかった。
fig2
 以上の事から「癒し音楽」は、テンポがゆっくりでメロディがシンプルである沈静的音楽と考えられる。また、活性的な気分に誘導する音楽としては、テンポが早くメロディが複雑という傾向がある予測される。これらの仮説をfig3に、テンポとメロディが「活性」と「癒し・安らぎ」に与える影響として示した。本研究では、上記にあげたメロディとテンポの関係が、人の癒しにどのような影響を与えるのかを調査する。そのための方法として、テンポ(fast or slow)とメロディ(simple or complex)の異なる曲を四曲作曲し、それを被験者に聴かせ、その後の感情状態を測定する。
fig3

参考文献
板東浩・吉田聡、2002、現代のエスプリ、至文堂
Balch,W.R.,&Lewis,B.S.(1999).Music-dependent memory:The roles of tempo changes and mood mediation.Journal of Experimental Psychology:Learning,Memory and Cognitin,22,1354-1363
Balkwill,L.L.,& Thompson, W.F.(1999).A cross-cultural investigation of the perception of emotion in music:Psychophysical and cultural cues.Music Perception,17,43-64
エンヤ.(1998).ペイント・ザ・スカイ~ザ・ベスト・オブ・エンヤ,リットーミュージック
Husain,G.,Thompson,W,F.& Schellenberg,E.G.(2002).Effects of musical Tempo and Mode on Arousal,Mood,and Spatial Abilities.Music Perception,20(2),151-171
神山純一.(2001).水の音楽<ピアノのために>,全音楽譜出版社
栗原理恵子・伊藤義美、2001、音楽聴取がもたらす感情的変化に関する心理学的研究、名古屋大学情報文化学部 情報文化研究 14
松田真谷子,厚味高広,伊東康弘.(2001).如何なる種類の音楽を聞いたとき人は元気が出ると 感じるか.日本音楽療法学会誌,1(1),2001,87-94
松田真谷子,厚味高広,鈴木茂孝.(1998),「心が安らぐ」「心がいやされる」と感ずるのはどんな音楽を聴いたときか,日本バイオミュージック学会,Vol16,No2,201-207
松本じゅん子、2002、音楽の気分誘導効果に関する実証的研究、教育心理学研究、50、p23-32
Mozart.W.A.(1968),モーツァルト 二台のピアノのためのソナタとフーガ,全音楽譜出版社
谷口高士、1995、音楽作品の感情価測定尺度の作成および多面的感情状態尺度との関連の検討、心理学研究、第65巻第6号
谷口高士、2002、音は心の中で音楽になる[音楽心理学への招待]、北大路書房
Thompson,W.F.,Schellenberg,E.G.,& Husain,G.(2001).Arousal mood and the Mozart effect,PSYCHOLOGICAL SCIENCE,12(3),248-251
全音ピアノ名曲100選(上級編).(2004).全音楽譜出版社

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研究の覚え書き、その五(癒し音楽)

 今回は癒し音楽についての論文を紹介していきたいと思う。
3 癒し音楽について
3.1 「元気になる」音楽と、「心がやすらぐ」音楽
 人はどのような音楽を聴いたとき、「癒される」と感じるのだろうか。松田・厚味・伊東(2001)と松田・厚味・,鈴木(1998)はそれぞれ、「元気になる音楽」と「心が癒される音楽」について調査している。
 私は、それらの調査の中で上位にあげられた曲を実際に聴き、譜面などから音楽的特徴を検討した。その結果、1)元気がでる音楽は、リズムが強調され、テンポが比較的早い特徴があった。2)癒される音楽については、リズムはそれほど強調されず、テンポがゆっくりで、メロディーがシンプルであることが分かった。癒される音楽の上位三曲は、エンヤ・ウオーターマーク、リスト・愛の夢第3番、神山・水色の幻想である。
 前回まではモーツァルト効果の研究を紹介してきたが、それには曲のテンポが係わっている可能性があると述べた。今回あげている調査でも、テンポが速い曲の方が、人を元気(覚醒)させる効果がある事が示されている。
 またメロディに関しても、Balkwill & Thompson(1999)は、音楽聴取後の感情にメロディのシンプルさと複雑さが、ポジティブ感情とネガティブ感情に関係があることをあげている。今回紹介した調査の「心が癒される音楽」もメロディの特徴において、シンプルであるという事が分かった。
 村井(2001)は音楽療法の立場から癒しについて検討している。そこで音楽療法で有効な音楽として、「デジタル的音楽」と「アナログ的音楽」という二つの概念を提唱している。そこでもメロディとテンポの、癒しに対する関連性が述べられている。
 人を癒す音楽は、テンポとメロディが係わっているらしい。

参考文献
Balkwill,L.L.,& Thompson, W.F.(1999).A cross-cultural investigation of the perception of emotion in music:Psychophysical and cultural cues.Music Perception,17,43-64
Jonathan C.smith., & Carol A.Joyce.(2004).Mozart versus New Age Music:Relaxation States Stress and ABC Relaxation Theory.Journal of Music Therapy,41(3),215-224.
松田真谷子,厚味高広,伊東康弘.(2001).如何なる種類の音楽を聞いたとき人は元気が出ると感じるか.日本音楽療法学会誌,1(1),2001,87-94
松田真谷子,厚味高広,鈴木茂孝.(1998),「心が安らぐ」「心がいやされる」と感ずるのはどんな音楽を聴いたときか,日本バイオミュージック学会,Vol16,No2,201-207
村井靖児.(2001).音楽療法の基礎,音楽之友社

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研究の覚え書き、その四(モーツァルト効果)

 今回もその弐に引き続いて、モーツァルト効果に関連した研究を紹介しようと思う。

1.2 モーツァルトの曲と、気分、空間認知能力向上の関係(他作曲家との比較)
 1.1ではGabriela et al.らのモーツァルト効果の研究を紹介した。彼らはモーツァルトの曲のみで気分や空間認知能力向上の関係を調査していた。今回紹介するのは、モーツァルトとそれ以外の作曲家の曲で、それらを調査している。
 William,E.Glenn and Gabriela(2001)は、モーツァルトとアルビノーニの両作曲家による曲を聴取した群と、音楽を何も聴かなかった群とで、気分と空間認知能力を測定しいる。曲は、モーツァルトのK448(ピアノ・ソナタ、ニ長調)と、アルビノーニのAdagio ト短調 for Organ and Stringsである。空間認知能力測定はpaper-folding-and-cutting(PF&C)tasksで測定し、気分はProfile of Mood States(POMS)で測定している。結果は、
1)モーツァルト群は空間認知能力の点が何も聴取しなかった群よりも高くなった。また気分は、ポジティブな感情が高くなり、覚醒の度合いも高くなった。一方、
2)アルビノーニの群は空間認知能力が非聴取群と変わらない得点だった。気分に関してはネガティブな感情が強く、覚醒の度合いも低かった。
 この結果だけ見るといかにもモーツァルトの曲が効果があるように思える。1.1でGabriela et alらのモーツァルト効果について調査を紹介した。それは早いテンポで長調による曲の聴取条件で、覚醒とポジティブな気分に誘導したときに、空間認知能力の向上が起きている。空間認知能力の向上には、モーツァルトの特定の曲が関係しているのではなく、音楽による覚醒とポジティブな気分への誘導が関係しているのではないだろうか。

アルビノーニについては下記ページを参考にした。
http://www.yung.jp/yungdb/op.php?id=225

参考文献

Baklwill,L.L.,&Thompson,W.F.(1999).Music-dependent memory:The roles of tempo changes and mood mediation.Journal of Experimental Psychology:Learning,Memory and Cognition,22,1354-1363
Gabraiela Husain.,Willam Forde Thompson.,& E.Glenn.(2002).Effects of musical Tempo and Mode on Arousal,Mood,and Spatial Abilities.Music Perception,20(2),151-171.
林知行.(1997).標準 ポピュラー音楽理論,シンコーミュージック.
Jonathan C.smith., & Carol A.Joyce.(2004).Mozart versus New Age Music:Relaxation States Stress and ABC Relaxation Theory.Journal of Music Therapy,41(3),215-224.
William Forde Thomposon,,E.Glenn Schellenberg,.& Gabriela Husain.(2001).AROUSAL MOOD AND THE MOZART EFFECT.American Psychological Society,12(3),248-251.

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研究の覚え書き、その参(音楽的特徴と知覚する感情)

 モーツァルト効果に関してはまだ紹介する論文がたくさんあるが、筆者が飽きてきたので(。´ノω・`)、モーツァルトとは違う音楽関連の話題を書きたいと思う。

2 音楽的な特徴と、知覚する感情との関係
2.1 テンポとメロディの関係を音楽形式の違いから検証
 Balkwill & Thompson(1999)は、インド古典音楽の曲を、主に西洋音楽を聞きインド音楽に関して知識を持っていない被験者に聞かせ、どのような感情が想起されるか調査している。結果として、1)速いテンポは喜びと怒りに、遅いテンポでは悲しみと穏やかさに関係があることをあげている。またメロディに関しては、2)シンプルなメロディは喜びに、複雑なメロディは悲しみに関係があることも示されている。そして、Balkwill & Thompsonは過去の西洋音楽の知覚に関する研究との比較も行い、西洋音楽とインド音楽の知覚する感情とに、音楽の文化的違いを超えた関係性があると述べている。
 音楽様式の違いがあっても、曲を聴いたときに知覚する感情には、音楽的特徴において共通するものがあるらしい。村井(2001)は音楽療法の立場から、音楽的特徴と癒しに関して述べている。これ関してはまたそのうち・・・。

参考文献
Balkwill,L.L.,& Thompson, W.F.(1999).A cross-cultural investigation of the perception of emotion in music:Psychophysical and cultural cues.Music Perception,17,43-64
村井靖児.(2001).音楽療法の基礎,音楽之友社

インド音楽に関しては下記を参考にした
http://www.sagami-wu.ac.jp/kmatsu/link_Classical_Music.htm
http://homepage2.nifty.com/naada/naada.html

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研究の覚え書き、その弐(モーツァルト効果)

今回も前回に引き続いて、モーツァルト効果に関連した研究を紹介しようと思う。

 1.2 モーツァルトの曲とニューエイジ音楽のリラクゼーション効果
 前回はモーツァルト作曲の作品を題材とした研究を紹介した。今回は、モーツァルト作曲とそれ以外の作曲家による曲との比較である。
 Jonathan & Carol(2004)はモーツァルト作曲のK525(アイネ・クライネ・ナハトムジーク)とK509(6つのドイツ舞曲)と、ニューエイジ音楽のHalpern作曲の「Serenily suite」との、リラクゼーション効果の比較を行っている。また音楽を聴取しない群として、一般雑誌を読む群も用意されていた。この調査は三日間続けられた。
 結果は、音楽を聴取した群は、聞かなかった群よりもリラクゼーションの効果が高かったことが報告された。しかしそれはモーツァルトの作品を聴取した方が効果が高かった。二日目からは音楽聴取群で変化が見られ、モーツァルト聴取群で特有の効果があった。それは、二日目では、安らぎの感情が増え、ネガティブ感情(不安、憂鬱)が減る効果が、より高く見られた。そして三日目では、ニューエイジ音楽聴取群では見られなかったような、高いリラクゼーション効果が起きたと報告されている。
 両方の曲でリラクゼーション効果が認められた。しかし、モーツァルトの曲にはさらなるリラクゼーションの効果があるようだ。

参考文献

Gabraiela Husain.,Willam Forde Thompson.,& E.Glenn.(2002).Effects of musical Tempo and Mode on Arousal,Mood,and Spatial Abilities.Music Perception,20(2),151-171.
林知行.(1997).標準 ポピュラー音楽理論,シンコーミュージック.
Jonathan C.smith., & Carol A.Joyce.(2004).Mozart versus New Age Music:Relaxation States Stress and ABC Relaxation Theory.Journal of Music Therapy,41(3),215-224.
Mozart,W.A.(2005).華,コロムビアミュージックエンタテイメント,Track 11.
William Forde Thomposon,,E.Glenn Schellenberg,.& Gabriela Husain.(2001).AROUSAL MOOD AND THE MOZART EFFECT.American Psychological Society,12(3),248-251.

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